健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年5月9日

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●教えてドクター 
★5月のテーマ「身近に直面する脳神経の病気」

名古屋大学医学部付属病院 神経内科 教授
勝野雅央 先生

神経の難病の中で最も患者数が多いのがパーキンソン病で、15万人から20万人程度と言われています。ジェームズ・パーキンソンが今から200年以上前に発見した病気です。この病気の特徴は脳の中のドーパミンという物質を作っている神経細胞が徐々に弱って死んでしまうために起こるということです。このドーパミンという物質は体をスムーズに動かしたり、脳を働かせたりすることに作用しています。そのためドーパミンが無くなることで体の動きがゆっくりになってしまったり、認知機能が衰えてしまったりします。パーキンソン病の症状は大きく分けると、運動症状と非運動症状とに分かれます。運動症状というのは体の動きの調子が悪くなるということですが、具体的には体の動きがゆっくりになるため、歩くのが遅くなったり、着替えに時間がかかったりします。そしてさらに筋肉がこわばったり、手足が勝手に震えてしまったり、バランスが悪くなり転びやすくなったりします。運動に症状が出てこない、非運動症状は運動に問題が出てくる前から症状が現れると言われています。非運動症状には、レム睡眠行動異常症と言って夜中に夢を見て大声で騒いでしまったり、嗅覚低下と言って物の匂いがわかりづらくなったり、便秘になってしまったりする症状があります。これらの症状は運動と直接関係ありませんので、パーキンソン病の症状の一部であるとは気づかれない方がほとんどだと思います。現在パーキンソン病については画像の検査で非常に高い精度で診断できるようになりました。先ほど申し上げたような、パーキンソン病の前触れ症状の段階であっても適切に診療を受けることによって早く病気が見つかることがあります。その段階でご本人が気づいていなくても軽い運動症状がすでに始まっている可能性もあります。ですので夜中に大きな声を出して騒ぐことをご家族の方に指摘されたり、鼻の調子が悪くて匂いが分かりづらいことに気づいたり、便秘がひどくなってきたりといったようなことがあれば、「もしかしたらパーキンソン病の前触れかもしれない」ということで一度病院の特に脳神経内科でご相談されると良いのではないかと思います。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
杉浦洋平 先生(医療法人 太洋会 すぎうら歯科クリニック 理事長)

特に力を入れていること
愛知県は歯周病治療の主役である歯科衛生士さんが大変不足しています。そのため愛知県の歯科衛生士さんの活躍の場を広げたいということで復職支援なども視野に入れ、新しくNPO法人歯科衛生士トレーニングスクールSirius(シリウス)を立ち上げました。現場で歯科衛生士さんの復職の大きな壁になっているのは、ブランクがあるためトレーニングができないことや、学ぶ場がないことです。ですのでそういった場ができたら良いのではないかということでトレーニングスクールを立ち上げました。

トレーニングスクールの活動について
トレーニングスクールの今までの参加者は、ブランクの長い歯科衛生士さんもいれば技術的にまだ自信がない歯科衛生士さんもいます。またその他最近行ったこととして、歯科衛生士さんの国家試験に残念ながら不合格となった学生さんを対象に、来年度の合格を目指し学業の面での支援をするという活動があります。歯科医師に対しては国家試験に不合格となった場合、全国に国家試験対策の予備校があるのですが、歯科衛生士に対しては予備校というものがなく独学で勉強するしかありません。ですので同じような境遇の学生さんに集まっていただいて、「来年こそは晴れて国家試験に合格し歯科衛生士になろう。」ということで活動しています。1人で勉強しているとモチベーションを保つことがなかなか難しいのですが、こちらでは、年間スケジュールを組んだり、臨床の場との両立への具体的なアドバイスをしたりしています。

今後の抱負
現在歯科衛生士学校に通う学生さんの考えや気持ちを実際の臨床現場の開業医の先生にもわかっていただきたいと思いますので、学生さんと臨床現場の先生方との意見交換会なども企画しております。
 
 

 
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