健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年3月21日

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●教えてドクター 
★3月のテーマ「新型コロナワクチンの最新情報」

名古屋大学医学部附属病院 中央感染制御部教授
八木哲也 先生

今現在日本でも接種が始まっているファイザー社のワクチンについてお話したいと思います。このワクチンはおよそ5万人位の人をリクルートして、一方のグループの人にはワクチンを打ち、もう一方のグループの人には偽薬といわれるプラセボを打ちます。そして打ち終わった人について効果を見ます。ワクチンを打たなかったグループからは100人くらい感染者が出たとすると、ワクチンを打ったグループは感染者を5人程度に抑えることができました。つまりワクチンを打たなかった人がもしワクチンを打っていたら、発症を予防する効果が95%もあるという驚くべき効果があらわれました。我々が毎年打ってるインフルエンザのワクチンは、若い人で発症予防効果が60%くらいということですので、この新型コロナウイルス感染症に対するワクチンはそれを凌駕する有効性の高いワクチンだと思います。予防にも有効ですが重症化する人を少なく抑えられる効果もあります。このワクチンで注意すべきことは、特に今2回目の接種をした後に発熱や倦怠感や筋肉痛や頭痛などの全身性の副作用がある程度出るということです。一番我々が恐れる強い副作用の一つに「アナフィラキシー」というものがあります。これはアレルギー反応の中でも程度が強く、急速におこる反応です。このアナフィラキシーという副作用は当初10万回打つうちの 1回程度おこると言われていましたが、接種が進むにつれてその率が少し減り、20万回に1回程度だろうと言われています。では20万回に1回というのはどの程度のものかと言いますと、通常の他のワクチンに比べると5倍から10倍くらい確率が高い位です。私たちが検査をする際に使用する造影剤などのほうがワクチンを打つよりアレルギー反応が起こるリスクが高いです。つまりワクチン接種の方が他の処置を行うことに比べてアレルギーが起こるリスクは少ないです。アナフィラキシーなどのアレルギー反応が起こった場合でも、迅速にしっかりと対応すれば十分安全に対処できます。新型コロナウイルス感染症に対するワクチンは総じて言いますと非常に効果が大きいです。副作用もそれなりにはありますが、それ以上に余りある効果があるのではないかと思います。ウイルス接種は新型コロナウイルス感染症の発症を予防するというものですが、無症状の感染者は減らせるのかはわかっていません。しかし症状のある人だけでも減らすことができれば、他の人にうつす機会を減らすことになります。全体の患者さんの数が減れば、それだけ重症になり亡くなる方も減るわけです。やはり今は自分一人が打てば自分一人のメリットにもなりますが、他の多くの人のメリットにもなると思いますので是非接種を前向きに検討していただきたいと思っています。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
渡邊和子 さん(常滑市民病院 訪問看護ステーション「きずな」所長)

特に力を入れていること
新型コロナウイルスの感染に関しては当ステーションの利用者様、ご家族様そしてスタッフにも陽性や濃厚接触者となった人はいません。しかし常に予防が必要な状況です。自分たちが感染者にならないためにも様々な対策をしています。出勤時は検温から始まり本人だけではなく家族の体調についても報告をしています。手洗いや手指消毒を徹底し、訪問から帰った際には衣類や訪問用のバッグにも消毒薬を噴霧するようにしています。環境的には国からの補助金で空気清浄機やアクリル板を購入し安全対策を行っています。常時換気に心掛け1日2回は事務所内や訪問者に関わるドアやハンドルも消毒しています。利用者様に対してもご自身の健康管理やマスクの着用、定期的な換気を日常化するようにお願いしております。

心に残るエピソード
母体病院である常滑市民病院では新型コロナウイルスに感染した患者の受け入れをしております。医師や看護師をはじめたくさんの職員で体制や環境を整え対応していますが、本当に激動の一年でした。そんな中、今年3月で退職される久米看護局長は市内の小中学校を訪問し校内放送を通して、コロナ感染に不安を感じたり、コロナを理由にした偏見や差別に悩んだりしながらも奮闘する看護師の思いを伝えています。話の最後には、「どうか大切な人を守って下さい。一人一人の行動が未来を作ります。一緒に頑張りましょう。そしてコロナと戦っている看護師を応援して下さい。」と熱く語っています。それに対して小中学校の皆さんや、新聞に掲載された記事を読んだ地域の皆さんから、応援の手紙や言葉をいただいています。看護師たちにとってはこのような方々とのつながりや、地域との絆が心の拠り所となって、感染症と戦う勇気や原動力になっております。

今後の展望
2月から訪問看護BCPという事業継続計画を立てるプロジェクトを始動しています。どんな災害が起きても地域の皆さんが安心して暮らし続けられるように平時からリスクアセスメントを行い、まずは事業所のBCP、その後は地域でも対応できるBCPを確定し活動をしていきたいと思っております。
 

 
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