健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年2月21日

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●教えてドクター 
★2月のテーマ「コロナ禍の高齢者の治療選択」

名古屋大学医学部付属病院 老年内科 教授
葛谷雅文 先生

現在病院に入院していたり、介護施設に入所していたりされている高齢者は、コロナ禍の現在の状況ではなかなかご家族と面会できません。 そうしますとご家族は自分の身内が入院や入所をしていても、どのような状況になっているかの情報が十分に得られません。それはご家族にとっては不安ですし、患者さんご本人にとっても非常にストレスが大きいと思います。それを少しでも和らげるために、タブレット端末やスマートフォンなどを使って画像や音声を通じてコミュニケーションが取れるような手立てが必要なのではないかと思います。
また、最期の看取りの状況にならざるを得なくなった患者さんに対しても家族が身近で手を触ってあげたり、肌に触れてあげたりすることが難しい状況ではあります。ただ最近は感染に気をつけて頂いて、看取りの時期に入った場合はご家族が患者さんの近くに居られるような対策を病院側もとりつつあると思います。そういった状況でのスタッフの教育ですが、一番必要なのは感染症に対する知識です。どういった形で防御すれば感染のリスクが少なくなるのかという知識を与えることと、フェイスシールドなどの必要な用具を準備する配慮が必要です。現状は介護施設などではヘルパーの方を含めた介護者の方々は、感染症に対しての教育を受ける機会が十分に無かったのではないか思います。そういった方々への教育や整備に対して施設長はしっかり手立てを講じるべきだと思います。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
伊藤功治 先生(総合大雄会病院 薬剤部長)

特に力を入れていること
昨年4月に総合大雄会病院に赴任しましたが、それまでは労災病院に勤務していました。労災病院は全国に32施設あり、転勤がありました。名古屋出身の私は、中部労災病院に23年間勤めた後、2007年に横浜、2009年に秋田、2012年に仙台、2016年に富山、3年前の2018年に中部労災病院に戻ってきて昨年3月末に労災病院を退職しました。250床の小さな病院から650床の大きな病院まで、様々な規模の病院を経験しました。横浜のように救命救急に力を入れている総合病院から医師不足で赤字の施設、いわゆるへき地医療の施設まで色々と経験してきました。総合大雄会病院ではこれまでの労災病院での経験を生かすことができればと考えています。

心に残るエピソード
院内における新型コロナウイルス感染患者への治療や対応については医師や看護師、放射線技師、臨床検査技師が中心となって関わっており、薬剤師は基本的に直接患者さんに関わることがありません。病院薬剤師がどのような仕事を行っているか一例を申し上げます。感染が広がり始めた昨年の春、ちょうど新型コロナウイルスの治療に用いる薬は保険適用されているものがありませんでした。例えばアビガンやオルベスコなど全て保険適用外での使用になります。医師からこれらの薬を使用してよいか?どのように対応すればよいか?相談がありました。医師は診療の方に力を割いていて忙しく、適用外の薬を使用するための手続きに時間を割くことができません。そこで我々薬剤師が病院の倫理委員会に申請する書類や患者さんへの説明文書・同意書などを医師に変わって作成し病院の倫理委員会の了承を得るとともに薬品の供給管理の体制を整備しました。

今後の抱負
病院薬剤師が不足していることが非常に深刻だと思っています。医薬分業や人口の高齢化が進んだことで薬局やドラッグストアの市場が拡大し、多くの薬学生がドラッグストアの方に流れているのが原因の一つと思っています。昨年病院薬剤師を主人公にしたテレビドラマが話題となり、病院薬剤師の認知度も少しは上がったように思います。しかし採用に対して応募して下さる学生さんが少ないのが現状です。病院薬剤師は医薬品全般における豊富な知識を活かして医師の処方箋に基づく調剤や服薬指導、医薬品の管理の他、感染制御、医療安全、緩和ケア、栄養サポートチームなど様々なチーム医療のメンバーとして患者さんの薬物療法を支えています。薬学実習を通じて病院薬剤師の魅力を学生に伝えて、大雄会病院で一緒に働ける学生さんを募集していきたいと考えています。
 

 
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