健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年1月17日

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●教えてドクター 
★1月のテーマ「身近に直面する脊椎の痛み」

名大医学部 整形外科学 教授
今釜 史郎先生

手の痛みが実は神経の問題に結びついているというパターンがあります。例えば手が痛くなった場合に、物にぶつけたり何もしていないけれども手が痺れたり、手が痛くなったりした時は、神経の症状である可能性が高いです。手の指先だけの症状であれば手首の手根管症候群や、肘で神経が圧迫される肘部管症候群がありますが、手のひらから二の腕といった腕全体の痺れや痛みがある場合は首の神経が圧迫されて問題を起こしていることが多いです。首の骨もせぼねの一部ですが、骨の中のトンネルに神経が入っています。首の場合は脊髄という太い木の幹のような神経と、そこから枝分かれした神経根という神経の根っこがあり、その神経根が腕や手の方へ神経を伸ばしています。幹のように太い脊髄という神経が圧迫されますと、痛みや痺れだけではなく手や足の動きが悪くなったり、動かなくなったりします。そのような症状が現れた場合は手術をしなければならないことがあります。一方で痛みや痺れの原因になりやすい神経根の圧迫の場合は、それだけであれば手術をしないことが多いです。MRIやレントゲン検査をして診断をしますが、腰痛に対する治療薬と同様のお薬がありますので、まずはお薬を使って痛みを治療します。手に痛みや痺れなどの症状が現れた場合には、まず整形外科の先生にご相談いただければ良いと思います。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
長田あかり さん(訪問看護師)

特に力を入れていること
病院で働いていた時にあまり患者さんとコミュニケーションがとれない環境にモヤモヤしていました。その時にある地域医療ワークショップに参加したことをきっかけに、私の希望としている「人と関わる医療ができるんじゃないか」という期待によるワクワク感で地域医療の世界に入りました。その後、静岡のへき地診療所兼病院外来に勤務し、現在は奈良の訪問看護ステーションで働いています。訪問看護という働き方ですが、お客様のお宅に私がお邪魔させていただくというスタンスですので、第一にお客様との関係性を大切にしていかなければいけません。今までの私は医療知識を一方的に話すという感じだったのですが、今ではお客様の思いを聞きつつ、一つでもためになったと思ってもらえるようなアドバイスを伝えるという姿勢をとっています。そして何よりも大切にしていることは、ちゃんと「今日も一日頑張っていらっしゃいますよ。」と相手を認めるということです。そういったことを大切にして毎日訪問看護を頑張っています。

心に残るエピソード
私はこの訪問看護という場で看取りの経験を何度かさせていただきましたが、その中で辛いなと思うこともありました。とある訪問先のご家族からは「この人はいつまで生きるのでしょうか?」と聞かれたり、とある訪問先ではご本人から真剣な顔で「俺が死んだら隣にいるこの妻はどうなるんですか?誰か助けてくれるんですか?」と必死に聞かれたりしたことです。その場で返事を求められるので、「他の人に聞いて後から返事をします。」などとは言えませんでした。そういった時の私はとても必死です。なんとか言葉をつないで、その方に自分なりの返事をしました。どちらの方も周りの方が笑顔で「ありがとう」と言って下さって、看取りに間違いも正解も無いと思えたのですが、自分の中で重く考えさせられました。その方たちは不思議と身の回りを整えてから亡くなられました。亡くなられた後のお化粧をしたり、ご本人様が着ていたスーツを着せたりするというお看取りの儀式をさせていただいたのですが、スーツをはおった姿を見た時に、今まで家族のように密に関わらせていただいていた分、心の中からポッカリ何かが無くなったような気持ちにもなりました。看取りという経験は非常に私の心に残るエピソードです。
 
 

 
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