健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年1月10日

[この番組の画像一覧を見る]

●教えてドクター 
★1月のテーマ「身近に直面する脊椎の痛み」

名大医学部 整形外科学 教授
今釜 史郎先生

腰の痛みの原因で最も多いのは老化現象によるもので、病名で申し上げますと変形性腰椎症と言います。変形は、骨が老化したり椎間板というクッションが弱ってきて柔軟性が減ってきたりすることによって起こりますので、一般の中高齢者の方にはよくみられる病気です。また最近増えてまいりましたのが、元気なお年寄りが転んでしまったりすることによって起こる圧迫骨折です。骨折ですのでもちろん痛みを伴いますが、全てに手術が必要というわけではありません。骨折の場合でも最初はコルセットを使用したり、お薬で治療をしたりすることもあります。その後、リハビリテーションや運動療法で痛みが和らげば問題なく治ります。したがって手術は最終手段ということになります。痛みに対するお薬の選択肢は非常に増えておりまして、一昨年われわれ医師が使う腰痛診療ガイドラインが新しくなりました。2012年のガイドラインに比べますと効果的だと推奨されるお薬の種類が2倍くらいになり、患者さんの治療に貢献できるようなお薬の選択肢も増えています。これは腰痛治療にとって非常に明るいニュースだと思います。腰痛には色々な原因がありますので、医師からよくお話を聞いた上で、それに応じた専門的な治療を受けていただくのが良いと思います。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
谷 大輝 さん(藤田医科大学病院 研修医)

特に力を入れていること
今僕は研修医1年目という立場なので、内科や外科といったような様々な所をローテーションしています。その中でも研修医が一番力を発揮できるのは救急外来です。ですので救急外来で患者さんとの接し方などを一番勉強しています。さらに藤田医科大学病院が全国で初めてスタートさせた「院内ラジオ」という患者さん向けのラジオ番組にパーソナリティーとして積極的に関わっています。院内ラジオが始まる時、「院内ラジオによって患者さんが積極的に治療に参加して下さるようになる。」ということを聞き、院内ラジオに参加しようと思いました。治療というのは登山のようなもので、頂上に到着すれば美しい景色が見られるのですが、それまでの道のりはとても過酷なものだと思います。ですので、「院内ラジオを通して患者さんに前向きな気持ちになってもらえるようサポートをしたい。」という思いで参加させていただいています。

心に残るエピソード
最近のことですが、フジタイム(院内ラジオ)にお便りを下さった患者さんがいらっしゃいました。その方は当院に何度も入退院を繰り返されている方でした。そのお手紙は「『藤田を10倍楽しむ方法』というコーナーはいかがでしょうか?」という企画提案のお便りでした。そのお便りに書かれていたことにとても驚きました。自分は「入院生活というものは苦痛を伴うものだ。」と勝手に思っていたのですが、その患者さんは入院生活を明るく前向きに過ごしていらっしゃることです。お手紙中の「病棟からの景色がきれいだ。」とか「病院食が美味しい。」といった内容に驚愕したと同時に尊敬の念を抱きました。患者さんがそういった前向きな姿勢を手紙に書いて下さり、それをラジオで伝えることで、他の患者さんも「私も頑張ろう。」という気持ちになるのではないかと思います。

今後の課題
国家試験の時にはまだソーシャルディスタンスについてなど厳しく言われていませんでしたが、4月の病院配属の時には新型コロナウイルスが蔓延していまして、緊急事態宣言の中で僕たちは医者になりました。特殊な時代に医者になったことを実感しています。学生の時は「医学というのは現代科学の結晶です。」と教わったのですが、実際現場に出てみますと新型コロナウイルスは僕たちが持っている防衛線を軽々と超えてきます。こういった無慈悲な攻撃の中でも患者さんに寄り添えるようにしていきたいと思っています。
 

 
関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報