健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年1月3日

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●教えてドクター 
★1月のテーマ「身近に直面する脊椎の痛み」

名大医学部 整形外科学 教授
今釜 史郎先生

腰の痛みは、政府の国民生活基礎調査で男性の有訴率一位、女性では一位に近い二位の多さとなっています。統計学上、非常に多くの日本人の方が腰痛をお持ちであるということになります。一般の方が思われている「せぼね」は脊椎と呼ばれます。せぼねの腰の部分が腰椎です。脊椎の中には神経が入っています。頚の神経は太い脊髄ですが、腰椎の神経は馬尾です。馬尾は馬の尻尾のように、細い神経がたくさん集まって腰椎の中に入っているようなイメージです。お年をとることによって骨が老化したり、骨と骨をつなぐ椎間板という組織が老化によって弱くなったりするため不安定になり、腰痛が起こる原因になります。腰の骨の後ろの方には膝や肘と同じような関節があります。例えばお年をとられた方は膝の関節が痛んだりしますが、腰も同じように関節が老化してきますので、腰の関節が痛くなりそれが腰痛の原因になることもあります。また、腰の神経が原因で腰痛が起こることもありますが、腰の神経は脚に伸びているため「坐骨神経痛」と言われる脚の神経痛として問題が起こることが多いです。腰の痛みについては骨や椎間板や椎間関節など、神経以外が原因となることが多いのです。
 
スマイルリポート 2021年 新年の特別ゲスト
美幌町立国民健康保険病院 呼吸器内科部長 安井 浩樹 先生
 (聞き手)CBC論説室 後藤 克幸 解説委員

後藤:今日は2021年最初の放送ということで、特別ゲストにご出演頂きます。このラジオ番組「健康ライブラリー」がスタートした2013年から四年間にわたって名古屋大学医学部の先生として番組の企画と監修にサポートをいただきました安井浩樹先生です。安井先生は現在、北海道美幌町立国民健康保険病院で呼吸器内科部長としてご活躍です。安井先生、明けましておめでとうございます。

安井:明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。

後藤:安井先生はこの番組当初から企画に深く関与して下さったのですが、先生がこの番組を始めた当時から伝えていきたかったメッセージがあったら教えてください。

安井:番組を始めた頃は医療事故や医療訴訟ということが非常に多く言われていました。その後地域医療の崩壊、そして現在は超高齢社会、地域包括ケア、そしてコロナ、ポストコロナなどと時代によって問題がかなり変わってきました。どんな時代も患者さんあるいは市民の皆さんと我々医療者が情報共有をして、一同手を携えて医療あるいは地域医療を作っていくことが重要であると思い、後藤さんと一緒にこの番組を始めさせていただきました。

後藤:私も医療現場と一般社会が建設的な情報でつながってみんなが前向きな気持ちで医療に参加していくという時代の要請がどんどん強まっているような気がしています。番組の中で何か印象に残っていらっしゃるエピソードをお聞かせください。

安井: 一番印象に残っているのが、がんセンターの前にある薬局薬剤師さんだったと思うのですが、「自分ががんの化学療法の資格をとるために試験を受ける時、がん患者さんから励まされた。」というエピソードです。医療者である薬剤師さんが患者さんを癒すつもりだったのが、自分の方が患者さんから癒されているというのが非常に印象的で、そんな医療ができたらいいなと改めて思ったのを覚えています。

後藤:医療もコミュニケーションの営みですから、先生方が患者さんへ伝えることもあれば、患者さんから先生や医療スタッフの方に伝えられる情報も重要ですね。双方向で気持ちを一つにしていくというのもとても大事なことと思います。

安井:そうですね。医療が患者さんからであれ医療者からであれ、一方向になってしまった時というのは非常に危険な状態だと思います。行ったり来たりしながらお互いに共通の目標を探し、そこを目指していくということが大事だと思います。現在、地域医療の現場に出て何年か経ちましたが、自分が教えていた地域医療からはるかに進んで変わってきていると感じます。現場に出ると様々な事情、例えば北海道で言いますと距離的な事情があります。大きな病院までの距離が名古屋にいる時と感覚が全く違います。「大きな病院まで行くことが患者さんにとって本当にハッピーなことなのか?」ということも考えなければなりません。今はコロナ禍ですので、がんの患者さんであっても東京などからは家族がなかなか会いにこられません。そういった時に「自分は何をやっているのだろう。」と考えてしまうこともあります。

後藤:そのようにすぐには解決できない問題に直面するのも地域医療の難しさかもしれないですね。

安井:ただその一方で美幌町というのは2キロ四方位の小さな町ですので、様々な職種の人々(医師、薬剤師、看護師、ケアマネージャー、役場の福祉の職員など)が患者さんの生活や医療に関わりますが、比較的近い所で話し合いができることに感動致しました。

後藤:チーム医療、多職種連携でのコミュニケーションが進んでいくのが、医療の本質でもありますから是非これからも地域の中で、あるいは医療全体を見据えながらご活躍下さい。また私たちの番組を応援いただけたらありがたいです。今日はありがとうございました。

安井:ありがとうございました。
 
 

 
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