健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年1月31日

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●教えてドクター 
★1月のテーマ「身近に直面する脊椎の痛み」

名大医学部 整形外科学 教授
今釜 史郎先生

健康寿命について考えたとき、日頃から心がけた方が良いことはまず健康的な生活を心がけることです。具体的には栄養をしっかり摂ること。太り過ぎも良くないですし痩せすぎも良くないということが海外でも国内でも研究によって明らかになっています。そして何より今日お伝えしたいのは運動習慣の必要性です。例えば1回につき30分程度のウォーキングを週2回程度行う事だけでも、体の痛みを少なくしたり生活の質(QOL)を上げたりすることに貢献します。これも研究で明らかになっていることですので、簡単な運動習慣を取り入れていただくと良いと思います。またロコモティブシンドロームという言葉が聞かれるようになりましたが、ロコモというのは元々移動を意味するものです。「皆さんが自分の足で好きな所に移動できるように。」という意味で、生活の質を上げようという取り組みの一つとしてロコモティブシンドロームのチェックがあります。チェックによって自分がロコモティブシンドロームに当てはまりそうであれば、それを防ぐために何かできないか?と考えていただく取り組みとなっています。ロコモを防ぐ方法としてロコトレというトレーニングがあります。一つはバランスのテストで片足立ちした状態で10秒静止することを1日3セット行っていただく方法です。これによってバランスが良くなり転びにくくなります。もう一つはスクワットです。スクワットというとスポーツ選手が行うものというイメージがおありかと思いますが、スクワットとは膝の屈伸運動で太ももの筋肉を強くすることにより、歩く能力を維持・改善しようとするのが目的です。膝が悪い方は転んでしまうといけないので、机に手をついてスクワットを行うと良いと思います。難しい場合は椅子から立ち上がる運動だけでも良いです。そのような運動を10秒程行って休憩する、という簡単な運動を1セット1、2回でも構いませんので、1日に3セット程度、毎日継続していただきたいと思います。難しい運動ではなくても面倒に感じられ、なかなか続かないのが運動の現実ですが、是非こういった簡単な運動習慣を取り入れていただきロコモティブシンドロームを予防または脱却するとともに、より長い健康寿命を手に入れていただきたいと思います。
 
医療コラム 冬場の新型コロナ対策のポイント
論説室 後藤 克幸

寒さが厳しくなり空気が乾燥してくる冬。新型コロナ対策のポイントを確認しましょう。コロナウイルスやインフルエンザ・ウイルスは、空気が乾燥した環境を好みます。空気が乾いていると、ウイルスを含む飛沫の水分が蒸発しやすく水の粒が小さく軽くなります。そうしますと長時間浮遊しやすくなるということで、感染リスクが高まると考えられています。また、ウイルスが侵入してくる私たちの喉の粘膜も、乾いているとウイルスが洗い流されず表面に付着して、細胞の中に侵入しやすくなり感染の危険が増します。

では、感染から身を守るためには、どのくらいの気温、あるいはどのくらいの湿度が良いのでしょうか?WHO(世界保健機関)が公表しているデータによりますと、18度以下の気温の中にいると、多くの人が呼吸器疾患に罹患する率が上昇するとのことです。空気の乾燥とインフルエンザ・ウイルスの活動について調べるた海外の研究報告もあります。それによりますと、ウイルスの活動が最も低くなったのは湿度40%~60%の間だったそうです。部屋の湿度をこの範囲に保てば、インフルエンザ・ウイルスの活動が鈍くなるということです。

こうしたことから、新型コロナやインフルエンザの感染リスクを下げるための室内の環境は、室温を18度以上に温め、湿度を40以上に保つことが大切だということになります。室温を保つために部屋の窓は閉め切りがちになります。しかし、感染対策の基本は「密を避ける」ことですから、換気も必要です。ではどうすれば良いのでしょうか?

厚生労働省が「冬場における換気の悪い密閉空間を改善する方法」という情報を公表しています。厚生労働省のホームページに掲載されていますので参考にして下さい。それによりますと、新型コロナ対策の換気方法は、暖かい時期ですと「30分に1回、定期的に窓を開放して空気を入れ替えましょう。」と言われていますが、冬場には「窓は少しだけ開けて、常時換気する方法をとって下さい。」と推奨されています。一度に窓を大きく開けて空気を一斉に入れ替えるのではなく、冬場は、窓は少しだけ開けて常時換気する方が部屋の温度の変化を抑えられる方法とのことです。室温を18度以上かつ湿度が40%以上になるように、加湿器を置いたりお湯を沸かしたりして適切な環境を維持して下さい。気をつけるべきポイントをしっかり押さえて対策をすれば、感染リスクを低くすることができます。
 
 

 
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