健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年12月27日

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●教えてドクター 
★12月のテーマ「Withコロナ時代の定期健診・人間ドック」

中京クリニカル 院長
小森 拓 先生

予防医療として最近話題になりましたのが、血液一滴で13種類のがんを早期発見できるという検査についてのニュースです。これは国立がん研究センターを中心に9大学と6企業が参加してスタートした検査です。血液検査をするだけで、胃がんや乳がんなどの患者数の多いがんはもちろんのこと、希少ながんを含む13種類のがんをごく初期の段階で診断できるという検査です。この検査は血液の中を流れるマイクロRNAとよばれる核酸を調べることによって行われます。がん細胞というのはこのマイクロRNAを放出しますので、これを正確に測定することによって、どんながん細胞が潜んでいるか突き止めるというわけです。3年後の実用化を目指して、現在急ピッチで研究が進められています。女性の乳がん検査については、日立製作所が新しく開発したマルチモード超音波CTという検査があります。この検査では水に浸した乳房に超音波を当てることによって、痛みを伴わず1分で乳がん検査ができます。圧迫感もなく正確性も増し、腫瘍が良性か悪性かの診断も可能になってきます。このマルチモード超音波CTでの検査は間もなく実用化の発表があるのではないかと思われます。これは乳がん検診に大きな革新をもたらすのではないかと言われています。その他の検査としては尿一滴でできるがん検査があります。これによって「がんは心配だけれど色々な検査を受けるのは大変そうだ。」と考える方が非常に安価で苦痛のない検査を受けることが可能です。線虫は嗅覚が非常に発達していてがん細胞に集まってきますので、それを利用した検査です。この検査も普及してくると思われます。またその他に腸内フローラ(腸内細菌叢)というものもがん検査において注目されています。腸の中には数百種類、100兆個以上もの細菌が住んでいます。よく善玉菌、悪玉菌、日和見菌などと言われますが、そういった大まかな分類のみならず、各菌の個性ががんや生活習慣病、抑うつ状態、認知症、リウマチ、アレルギー、肝臓の状態など多くのことがらに関連することがわかってきました。そこで腸内の細菌を調べることによって体質改善に役立つと言われています。例えば新型コロナ肺炎についても腸内フローラと重症度の関わりがあると言われていて多くの研究者が現在分析中です。
 
医療コラム 新型コロナ対策の基本は変わりません!
論説室 後藤 克幸

この1年を振り返ってみますと、新型コロナと向き合い、色々な課題に直面し、色々な事を考えさせられた1年でした。医療現場ではこの1年間多くの治療経験と感染対策の専門家の分析などが深まって、色々な事が明らかになりつつあります。その中で感染リスクの高い行動や場面というものも次第にわかってきました。

厚生労働省は「感染リスクが高まる5つの場面」という情報をホームページ等で公表しています。5つの場面とはどのような場面かを具体的に言いますと、1番目は飲食を伴う懇親会などです。お酒を飲んだり美味しい物を食べたりする中で、どうしても仲間との会話に夢中になって注意力が低下して気分も高揚しやすく大声を出してしまうこともあるので要注意というわけです。2番目は大人数による飲食や長時間に及ぶ飲食です。例えば2次会、3次会、はしご酒などはリスクが高まるので要注意だと警告をしています。そして3番目はマスク無しでの会話です。近い距離で話をする時には飛沫感染のリスクが高まると注意を呼び掛けています。4番目は狭い空間での共同生活です。例えば学生寮での相部屋などは共用部分もあって感染リスクが高まりやすいので特に注意しながら暮らすことが必要です。5番目は居場所の切り替わり。これはどういうことかと言いますと、神経を集中して仕事に取り組んでいたオフィスのデスクから少し離れて、休憩室や喫煙所、更衣室などへ居場所が切り替わった所で、お互いに気が緩みやすく、マスクを外しての会話や大声での会話をしがちなので、居場所が切り替わった場面では注意が必要だということです。

今年、感染拡大が続く厳しい状況を伝えるニュースが多かった中で、ワクチンの開発のニュースは、「科学の力で新型コロナに打ち勝つことができるかもしれない・・・」という明るい気持ちになるニュースでした。ただ、何十億人という人が暮らす地球上の国々全体に、ワクチンをしっかり行きわたるには、途方もない難題も山積しています。専門家は「2021年は、
世界各国の人々にワクチンをいち早く届けるために、世界が協力し合えるかどうかが、重要課題となる1年になる」と話しています。
 
 

 
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