健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年12月20日

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●教えてドクター 
★12月のテーマ「Withコロナ時代の定期健診・人間ドック」

中京クリニカル 院長
小森 拓 先生

私たちにとって新型コロナウイルス感染症再拡大を防止するために、どこまで何を自粛するかというのは悩むところです。新型コロナウイルス感染症は高齢者や基礎疾患をお持ちの方が感染すると重症化するリスクがあります。またこのような状況が長期化した場合に病気の自覚症状があっても医療機関の受診を避けたりするため、がんや心疾患や血管疾患などの命にかかわる疾患の病気の発見が遅れてしまうことがあります。10月に日本がん治療学会が開催されまして、大阪大学の土岐先生が「今のがん診療における最も大きな課題は、がん検診数の減少やがん治療が遅れていること、外科手術の数が減少していることである。」とおっしゃっています。特に内視鏡を用いたがん検診は5月の段階でほぼ0まで落ち込みました。新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着いている時期は、がん検診によるがんの早期発見のメリットは検査による新型コロナウイルスへの感染のデメリットを大きく上回ると言われています。今後もがんなどの病気に対する受診遅れの改善が必要だと強く言われています。ですからウィズコロナ時代でも検診によるがんの早期発見・早期治療がいかに重要であるかについて、専門家による注意喚起が必要です。群馬県などの研究発表では新型コロナウイルス感染症への感染への懸念や経済困窮などの複合的要因が原因で、乳がんや胃がんや大腸がんなどの手術件数が8.8%減少していたというデータもでております。医療者は「検診だけでなく気になる症状があれば受診して下さい。」と呼びかけなければなりません。人間ドック等で定期的に自分の体を調べて基礎疾患の有無を確認しておくことは、健康を守るうえで大切なことです。もし余力があれば、こういった新型コロナウイルス感染症の拡大期に意識的に自衛を強めて感染リスクを低下させることもできます。日頃から年に1回はご自身の健康状態を客観的に評価する機会を作っていただきたいと思っております。当院でも厳格な感染症対策をとっております。これからも皆様が安心してご受診していただき、健康維持ができるよう今後も尽力してまいりたいと思っております。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
池田 涼香 さん
(名古屋大学医学部附属病院 地域連携・患者相談センター 医療ソーシャルワーカー)


特に力を入れていること
私たち医療ソーシャルワーカーは患者さんやご家族が抱える様々な困りごとに対して、支援を行っています。私は主に急性期の治療を終えられた方の退院支援にあたっています。退院支援では入院中の病状により、「このままお家に帰って大丈夫かな?」と心配されている方に対して、自宅の環境を整えたり他の療養先を一緒に考え、案内したりしています。その際に少しでも安心して療養を続けていただけるように、転院先や施設の方や地域のスタッフさんへ細やかに情報提供を行うことを心がけています。

心に残るエピソード
60代の患者さんのお話です。がんの闘病中、お一人暮らしで抗がん剤治療を続けておられましたが、少しずつ体の痛みが強くなって入退院を繰り返されるようになりました。その方が12月に入院された時に私たちに、「年末年始も病院なんてね。このカーテンを見ていると本当に辛くなってくるの。家には帰れないし、どこか施設に入れないかしら?」と涙ぐみながらお話して下さいました。少しずつ病状が悪化し、体が思うように動かなくなっていく中で、一人で療養を続けていくことに不安や心細さを感じられていたようでした。そこから年内に受け入れていただける施設をお探ししました。受け入れ先が見つかり年内に施設への退院が決まった時は本当に喜んで下さいました。その後当院の外来受診の際にお話しをする機会があり、施設での生活を笑顔で教えて下さいました。施設の皆さんや職員さんとおせち料理を食べたり、辛い時に話を聞いてもらえる方がいることが、本当に心強く嬉しい気持ちだと伝えて下さいました。治療を継続するにあたってご本人が安心して生活できる場があることや周囲のサポートが大切であることを再確認したエピソードでした。

今後の課題
若年でがんの闘病を続けられている方の支援が課題だと感じています。就労との両立支援や経済的な支援や生活面での支援など、治療面以外でもサポートを必要とされている方がたくさんいらっしゃいます。若年の方へのサポートは自治体によって様々です。患者さんお一人お一人がその時に必要な支援が受けられるよう、日々情報収集し勉強しなければならないと感じています。
 

 
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