健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年12月6日

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●教えてドクター 
★12月のテーマ「Withコロナ時代の定期健診・人間ドック」

中京クリニカル 院長
小森 拓 先生

健康診断の目的は今の体の健康状態を明らかにして、異常があればそれを発見し、健康な生活を送るための健康維持や改善をはかることです。たまに「体調が悪いので検査で悪い結果が出たらどうしよう。」などと心配なさる方がいらっしゃいますが、この考え方は本来の健康診断の意味から外れています。調子が悪いという自覚症状がありましたら、健康診断ではなく病院で受診することが必要です。「けんしん」には健康の健をあてる健診と検査の検をあてる検診の2種類あります。発音は同じですが、前者の健診は健康であることを確認するためのものでメタボ健診などがこれに当たります。一方で検査の検をあてる検診は、特定の病気にかかっていないかを調べ、早く治療を行うことを目的とした検査と言えます。がん検診や骨粗しょう症検診や肝炎ウイルス検診などがこちらの検診に分類されます。健診は様々な病気の可能性を踏まえたうえで全身を調べることにより、早期発見・早期治療につなげるために行われています。人間ドックの「ドック」はもともと船の修理や点検を実施する場所のことを表していました。船の状態をくまなくチェックして異常が無いことを確認することになぞらえて、全身の検査をすることをドックと称するようになっています。やはり長生きできたとしてもベッドに寝たきりでは人生を謳歌しているとは言えません。健康寿命という言葉が最近注目されているように、年齢を重ねても若々しく健康に過ごせることが大切だと考える方が増えています。そのためには病気になる前に病気のリスクを発見して予防することが大事です。「元気だった人がある日突然倒れた。」ということを耳にすることが時々あるように、一見元気そうな方にも隠れた病気が潜んでいることがあります。医療には予防医学や治療医学がありますが、予防医学がとても注目されています。糖尿病や高血圧や脂質異常等の生活習慣病はかなり進行しないと自覚症状が出てきませんし、がんも何年もかかってゆっくり進行するケースが多いので、早く病気を見つけてその芽を摘み取れば治癒させることも可能です。年齢とともに病気が出やすくなってきて、発がんリスクも高まります。特にがんについては早期に見つかれば治療の費用も期間も少なくて済みます。50歳以上の方や喫煙者やがんにかかったご家族がいらっしゃる方や生活が乱れている方は是非人間ドックを受けていただきたいと思います。人間ドックを受けていただくことが病気の早期発見・早期治療につながると考えております。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
安田あゆ子 先生(藤田医科大学病院 医療の質・安全対策部 医療の質管理室)

特に力を入れていること
当院の医療の質管理室では「患者さんにとってより良い医療とは何か?」ということを、安全だけでなく医療の有効性や適時性等、様々な側面から検討して改善するために活動しています。私たちの病院では患者さんに良くないことが起こった場合、インシデント報告という形で職員から報告を集めて課題を認識して病院を改善しようということを行ってきました。そういった課題を集めるようなシステムは医療機関の大きさに関わらず必要だと思いますが、中小規模の医療機関が気軽に課題を集められる電子システムは今まで日本にはありませんでした。私たちは職員の方の報告を集めて自分たちの課題が認識できるようなシステムを作りたいということで、アプリ型報告プログラムというものを開発してきました。これを是非地域の先生方に使っていただきたいと考えています。
小さな医療機関では職員間のコミュニケーションが活発で、きちんと様々な連絡が行き渡っていると思います。しかし、集まった情報を残していくのは電子システムが得意とするところなので、それを上手く使っていただくことをサポートしていきたいと思っています。

今後の抱負
ラジオをお聴きの皆様にわかっていただきたいのは、どんな医療にもリスクがあるということです。そのリスクをきちんと見つめていく必要があると思います。私たちは今回この報告システムを研究という形で地域の医療機関に使っていただき、手助けをしていきたいと思っています。是非そういったことを前向きに行っている医療機関を応援していただけたらと思います。またリスクを皆で共有するというのは医療機関内だけではなく、ゆくゆくは地域の皆様たちとも共有して、一緒に解決策を考えていけるように発展させていけたらと考えております。
 

 
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