健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年11月29日

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●教えてドクター 
★11月のテーマ「With コロナ時代の心の健康」

愛知医科大学 名誉教授 / 伏見・長東伝クリニック 院長
小林章雄 先生

メンタル疾患の治療は基本的には精神科の先生にお願いすることになりますが、最近では精神科の先生だけでなく、内科や心療内科等の先生もメンタル不調の治療に携わることが多くなってきました。いずれにせよメンタル面の不調が続く場合は大それたことを考えずに気軽に医師に相談されると良いと思います。昔は先生によって流儀が大きく異なる場合が多く、自分に治療方針が合うかどうかが心配で受診をためらわれる方もいらっしゃったと思います。しかし現在は主な精神疾患については学会から標準的な指導ガイドラインがでていまして、それを基に専門医の先生や一般の先生方も治療を行っています。ですので治療内容が大きく異なることはありません。メンタル不調が続く場合はあまり悩まずに受診していただいた方が良いと思います。メンタル不調に対する薬物療法について、治療ガイドラインでは、「必要十分量を必要な期間だけ与える。」ということが基本になっています。不十分な薬物の量で治療を行っていると治りが悪いので、ご自分に副作用や不調が出てきた場合には主治医とよく相談することが必要です。不調がでてきたのですぐ病院を変わるということを行っていると、いつまでも最適な治療に結び付きません。薬物療法以外でよく行われているものには、リワークやカウンセリングの中で行われる認知行動療法があります。認知行動療法というのは、メンタル面の調子が悪くなると、世の中のとらえ方や対人関係のとらえ方に極端なゆがみがでてきて、そのゆがみのために増々落ち込んでしまうので、そのゆがみを合理的なものに変えていき気分が良くするという標準的なアプローチです。その他にマインドフルネスとよばれるものが精神科の治療に取り入れられるようになりました。一般的なマインドフルネスの方法は自分の呼吸に注意を集中して、息を吸った時にお腹がどのように膨らんでいるか?などに注意を向けながら自分の中に浮かんでくる思いを否定せずに好奇心を持って受け止めるといったものです。それを続けることによって次第に元気になるという考え方です。客観的に自分を見つめるという意味合いがあり、苦しい時に苦しいと思うだけでなく、「今自分は苦しがっているな。」と客観的に考えると苦しさが軽減されるという効果があります。
 
医療コラム 新型コロナ対策の基本は変わりません!
論説室 後藤 克幸

新型コロナウィルス感染症の空気感染の可能性について、アメリカのCDC(米国疾病対策センター)が10月に発表したニュースには、多くの方が不安を感じたかもしれません。空気感染と聞くと、息をしただけで感染してしまうのでは?と、とても怖い印象が独り歩きしがちです。しかし、CDCの発表の内容は、正しく読み解かないと誤解を招いてしまう点に注意が必要なんです。

発表内容をよく読むと、新型コロナウィルスの空気感染は、実は、限定的な特定の状況のもとで起こるものだ、と書かれています。その限定的な特定の状況とは「換気の悪い閉ざされた空間の中で長時間過ごす状況」と指摘しています。換気の悪い閉ざされた空間の中で、歌を歌ったり運動をしたりして荒い呼吸をしている人の中に、もし感染者がいた場合に、呼吸から出るウィルスを含んだ小さな飛沫が、数分から数時間にわたって空間に漂い続けます。換気の悪い閉ざされた空間の中では、そうした小さな飛沫の濃度が時間と共に高まっていくため、感染のリスクが高まると、CDCは警告しているのです。

さらに、CDCの発表文の中では「感染した人と近い距離で会話したり食事したり接触したりする接触感染の方が、空気感染よりはるかにリスクが高い」とも言っています。

つまり、今回のCDCの発表が社会に訴えているメッセージは、今までと同じく“3つの密”(密閉・密集・密接)を避けることと、“ソーシャルディスタンス”(人との距離を保つこと)を心がけることの重要性を訴えている・・・ということだったんです。

必要な感染対策の基本は、これまでと変わりません。

 
 

 
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