健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年11月15日

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●教えてドクター 
★11月のテーマ「With コロナ時代の心の健康」

愛知医科大学 名誉教授 / 伏見・長東伝クリニック 院長
小林章雄 先生

最近の警察庁の統計では、自殺者数がかなり増えていることがわかっています。中でも女性の自殺者の増加率が昨年に比べて7月が16%増、8月が40%増、9月が28%増と際立って高くなっています。派遣社員の方や非正規雇用の方の割合が女性に多いということで、その方たちが失業することがきっかけになっていると考えられます。また厚生労働省の統計では小学生から高校生までの8月の自殺者数が昨年は28人でしたが、今年は59人と約2倍になっています。新型コロナウイルス感染症拡大防止のためステイホームと言われていますが、ホームがくつろげる状態であれば良いのですが、虐待等様々な不安な要因があるような家庭にステイする場合はかなり深刻な状況になります。そういった苦しい状況下ではご本人は悲観的になっており、「どうせ相談しても今の苦しい状況から抜け出せないだろう。」と思うことが多いです。また周りの人も「あの人は失業して苦しい状況になったのだから仕方ないよね。」と言いがちです。ご本人としては、解決はできないとしても辛い感情を打ち明けてみることが大切です。周りの人は失業をなんとかしようとするとハードルが高く難しいので、ちょっと寄り添って気持ちを聞いてあげることが大切です。そうすることで救われる面があると思います。最後のところで「わかってもらえた」という感覚を持てることが大事だと思います。言葉にして自分の気持ちを誰かに打ち明けるうちに心が安定したり自殺をふみとどまったりすることもあります。また電話相談等もありますので、そういったものが必要となる場合もあるかと思います。一人で抱え込まずに誰かとつながるように工夫することが大事です。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
出口賢太 さん(瀬戸市役所 健康福祉部 高齢者福祉課)

特に力を入れていること
瀬戸市では11月より「大人の本気ダンスプロジェクト」をスタートしています。近年健康寿命を延ばすためには、噛んだり、飲み込んだり、おしゃべりしたり、といった日常生活の基本となる口腔機能を鍛えることが重要だと考えられています。「大人の本気ダンスプロジェクト」はその口腔機能を鍛えるダンスを市民の皆様と一緒に作り広げていこうというものです。今回のダンスの作成や指導は担い手人材育成や楽曲制作等に実績のある、株式会社東海第一興商様にお願いをしていますが、口腔機能を高めるために発音する歌詞等については、市民の皆様にご意見を頂戴して作成しています。応募についてはすでに受付を終了していますが、瀬戸市の魅力が詰まったキーワードのアイデアをたくさんいただくことができました。またダンスが完成した後は、それを広める伝道師が必要となってきます。現在20名の方々に「大人の本気ダンス」を習得していただいています。最終的には発表会やプロモーションムービーの作成等を通じて完成したダンスを披露していただく予定です。完成したダンスを皆様にお見せできるのは、来年の3月頃になるかと思います。「大人の本気ダンス」を一人でも多くの方に踊っていただいて口腔機能を高めていただきたいと思います。そして伝道師の皆様と東海第一興商様等々、コロナ禍の状況でも官民一体となって、瀬戸市が活気づく介護予防事業を展開していきたいと思っております。

心に残るエピソード
瀬戸市では選んで楽しく参加できるバラエティー豊かな介護予防プログラムを実施していますが、その中の一つに社交ダンスの教室があります。その社交ダンスの教室には90歳の女性の方が参加されていました。数あるプログラムの中からどうしてこの社交ダンスの教室を選んで参加したのかお尋ねしたところ、「一番楽しそうだったし、社交ダンスなんてやったことがないからチャレンジしたくなった。」とのことでした。

今後の課題
介護予防事業を実施していくうえで対象者のニーズを正確に把握することはとても重要になってきます。シニア世代の方々は私たちが思っているよりも、かなり若い感覚をお持ちなのだと感じました。ですので瀬戸市では先入観や固定観念を持たずに楽しんで参加できるプログラム実施することを心がけています。今後はデータ等に基づいた根拠のある介護予防を実施していく必要があると考えています。介護の分野だけでなく医療分野とも連携しながら広い視野でデータを分析していきより効果的な取り組みを実施していく必要があると思います。
 
 

 
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