健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年11月1日

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●教えてドクター 
★11月のテーマ「With コロナ時代の心の健康」

愛知医科大学 名誉教授 / 伏見・長東伝クリニック 院長
小林章雄 先生

メンタル面の不調を訴える患者さんの中では、気分がふさいで何もしたくないというのはよくある症状です。また言いようのない不安を感じるだとか、集中力が無くなって仕事が手につかないとか、人の言っていることが頭に入らないといった症状を訴えられる方も多いです。仕事をしている方の中には、「自分は能力が無いのではないか?」「だめだ、だめだ、何をしても失敗する。」というように思うようになり退職届けまで書いてしまうような方もいらっしゃいます。あるいは通勤途上で「このまま消えてしまった方がいいかな。」というようなことを考える方もいらっしゃいます。さらにメンタル面ではなく体の方に不調が出る場合もあります。例えば、頭が痛い、頭が重い、めまいがする、ふらつく、耳鳴りがする、胸が苦しい、といったような身体的な症状として現れることがあります。メンタル不調として一番多くわかりやすいサインとして、睡眠の問題があります。ある調査によるとうつ病の人の85%位が不眠の症状があることがわかっています。不眠の中にも3つのパターンがあります。1つ目は入眠障害と言われ、寝付けないという状態です。2つ目は中途覚醒と言われ、夜中にはっと目が覚めてひどい時には、1、2時間おきに目が覚めてしまう状態です。3つ目は早朝覚醒と言われ、朝早く目が覚めてそこから眠れなくなってしまう状態です。寝付けないということは不安等がきっかけになることが多いです。夜中に目が覚めてしまう中途覚醒はうつ病の症状として多いように思われます。寝付けないという状態は皆さん困るので、受診されるきっかけとなることが多いです。しかし、夜途中で目が覚めたり、朝早く起きてしまったりということは、中高年の方は特に年のせいだと思いがちです。ただそういった症状の方の中に「睡眠時無呼吸症候群」という別の病気が背景にあることがよくあります。「睡眠時無呼吸症候群」というのは夜中に息が止まり、その都度目が覚めるという病態でです。それを見極めるためには睡眠のパターンやいびき等を回りの人に確認してもらったり、睡眠アプリで確認したりしていただきたいです。そして必要に応じて睡眠科という睡眠を専門に扱う科がありますので、そちらを受診していただきたいと思います。
 
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
服部優香理 さん(服部サントピアみのかも 作業療法士)

特に力を入れていること
岐阜県で働く作業療法士の有志で2015年よりジョイントカフェ(認知症カフェ)を2カ月に1回開催しています。運営メンバーのほとんどが病院や施設に勤務しており、地域の方と一緒に活動できる機会を持ちたいとずっと考えていました。地域の課題として、「認知症の人は何もできない。」「認知症だけにはなりたくない。」という偏見やマイナスのイメージが根強くあることを知り、また、メンバーの4人が「認知症ケア専門士」を取得していることもあり、認知症ご本人とご家族を含む地域の方々と一緒に認知症をジブンゴトとして捉え、正しく理解し、考えていけたらいいなと認知症カフェを始めました。

心に残るエピソード
新型コロナウイルスの影響で6月と8月はZoomを活用したオンラインでの開催となりましたが、10月は8カ月ぶりに会場に集まりリアルでの開催ができました。直接顔を合わせること、同じ空間を共有すること、お互いの存在を感じ取ることで、安心感と「明日からもがんばろう。」という前向きな感情が生まれ、繋がり続けることの大切さを改めて実感しました。また、同時刻に東京で開催している認知症カフェとZoomを活用して交流も図りました。

今後の課題
これからインフルエンザも流行する季節を迎えます。どのような形でジョイントカフェを開催していくのかが当面の課題となっています。感染対策を行いながらリアルで開催するのか、オンラインで開催するのか、オンラインとリアルのハイブリッドという形で開催するのか、運営スタッフ、参加者の皆さまと一緒に検討しながら居場所であるジョイントカフェを継続していきたいと思います。
 
 

 
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