健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年10月25日

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●教えてドクター 
★10月のテーマ「With コロナ時代の健康と運動」

名古屋大学 総合保健体育科学センター 教授
小池 晃彦 先生

運動で効果をあげたいと思った場合、運動の法則を知っておくことは大事です。運動量は少しずつ増やしていく必要があります。しかし運動を止めてしまうと逆戻りしてしまいます。また、少しずつ負荷をあげていくことで効果がでてきます。逆に言えば負荷を少しずつあげていかないと次のレベルに行けません。そして心肺機能を高めたいのであれば有酸素運動を行わなければならないし、転ばないようにするため大腿の筋肉を鍛えたいのであれば、その筋肉を鍛えることを行わなければなりません。これを運動の特異性と言います。これらの運動の法則を知ったうえで運動を行っていただきたいです。
まずは1日10分程度歩いてみる等、少しの運動から始めて下さい。毎日の短い運動でも非常に体に良いということがわかってきています。例えば糖尿病の運動療法のガイドラインには「30分座ったら立ちましょう、歩きましょう」となっています。歩くとさらに良いのですが、立つだけでも血糖値がよくなるということがガイドラインにも載っています。短い運動や軽い負荷では効果が無いわけではなく、実は大きな効果があるとわかっています。短い運動や軽い負荷のかかる運動を行っているうちに、体が変わってくるのがわかれば面白くなると思います。運動の効果というのは実感できるという所が良いところだと思います。そのためには安全を保ちながら少しずつ負荷をあげていくということが大事です。一般的な運動の指針として週150分の中程度の強度の運動が薦められていますし、もう少し運動できる人でジョギングや早く走ったりする負荷が高めの有酸素運動をするのであればその半分の時間で良いです。
おすすめの運動はラジオ体操です。ラジオ体操の中には筋トレ的な要素もありますし、ジャンプ等の有酸素的な運動もあります。ラジオ体操のような一連の運動を毎日繰り返すと良いです。また20秒間全力で自転車をこいだりする高強度の運動を短い時間で行うことで得られる効果もあるのでこういった運動も混ぜると良いです。具体的には、ウオーキングの途中で転ばないように、全力で走ってみることを挟むことも良いと思います。
 
 
医療コラム 子どもたちが感じるWithコロナ社会のストレス
論説室 後藤 克幸

新型コロナウイルス感染症の影響により、子どもたちに色々なストレスがかかっているという調査結果がまとまりました。国立成育医療研究センターという子どもたちの成育に関わる医療について研究しているセンターが今年の夏、全国の7歳から17歳の子ども達を対象にアンケートを行いました。その結果、何らかのストレス症状をかかえている子どもが、72%にものぼりました。その中で多かったストレスは小学生では「コロナのことを考えると嫌な気持ちになる」、中学生では「最近、集中できない」といったものが多くありました。

また、コロナに関する偏見等についてもアンケートを行いましたが、「コロナになった人とは、コロナが治っても、一緒に遊びたくないと思う人が多いと思う」という答えが、40%を超えていました。そして「もし自分や家族がコロナになったら、そのことは秘密にしたい」という答えも、32%、3人に1人の割合でした。これはコロナにかかった人や家族に対する偏見が、子どもたちの周りに押し寄せてきていることを、子ども達が敏感に感じていることを表した数字だと思います。

アンケートでは「大人達に伝えたいことはどんなことですか?自由に書き込んでください」という記入欄もありました。そこには「テレビのインタビューで、親世代の人が『子どもがずっと家にいるのがストレスだ』と言っているのを見るけど、目の前で自分の存在を否定されたようで辛い」という中学生の声が書かれていました。また「前みたいに友だちと外で遊びたいです」という小学生の訴えもありました。

この調査結果について国立成育医療研究センターは、「子どもの不安やストレスは、大人が感じる以上に大きいもので、コロナへの偏見を感じてしまう社会では、自分や家族が新型コロナ感染症にかかったら、秘密にしたいと、多くの子どもが考えてしまうのです」とコメントしています。

正しい知識を持つことや自分や周りの人を大切にする気持ちこそが大切であると、子どもたちに、大人がきちんと伝えていきたいですね。
 
 

 
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