健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年9月20日

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●教えてドクター 
★9月のテーマ「予防接種の正しい知識」

名古屋大学大学院 医学系研究科 ウイルス学 教授
木村 宏 先生

新型コロナウイルスの流行によって、病院へ行くことを避けるような風潮がでてきていることを懸念しております。おそらく病院で新型コロナウイルスがうつるのではないか?というリスクと通院時に新型コロナウイルスがうつるのではないか?というリスクを考え、皆さん心配されているのだと思います。乳幼児の接種率が明らかに下がっていることからも示されています。予防接種は決まった時期に受けないと意味が無く効果が得られません。病院へ行くことをためらうことにより、その時期を逸してしまうと、その子どもさん自身が不利になりますし、公的助成を得られなくなってしまいます。さらには免疫を持っていないようなお子さんが増えていきますと病気が流行する恐れがあります。予防接種については地方自治体の広報などで、指定された病院や指定された時期などのお知らせが載っていますし、案内も届くと思います。予防接種の時期を逸しないようにすることが重要です。ご年配の方についてはインフルエンザが心配されます。インフルエンザは毎年冬に流行しますが、今回の新型コロナウイルスも呼吸器感染症なので、この冬きっと流行するのではないかと言われています。その際にインフルエンザと新型コロナウイルスとの見分けがつかない恐れがあるので、インフルエンザもしっかり予防することが重要です。現行のインフルエンザワクチンは65歳以上の高齢者および60歳から65歳までの方で基礎疾患ある方には接種が強くすすめられていて、地方自治体から公的な補助が受けられます。このようなインフルエンザワクチン接種の機会を逸しないことが大事です。肺炎球菌による肺炎もインフルエンザと同様に新型コロナウイルスと見分けがつきにくいうえに重篤な病気です。現在肺炎球菌の予防接種についても高齢者に対しては費用補助がありますので、きちんと受けておくことが重要です。新型コロナウイルスを恐れるあまりに、病院へ行かないということで本当に必要な予防接種を受けないといった、リスクを高めるようなことにならないよう気をつけていただきたいです。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
森田敏充さん
(常滑市民病院 訪問看護ステーション「きずな」理学療法士)

特に力を入れていること
私は利用者様のお宅へ訪問してリハビリを行なっています。新型コロナウイルスの流行に伴って自主的に訪問リハビリをお休みされている利用様もいらっしゃいますが、多くの方々がリハビリを継続されていらっしゃいます。その業務の中で新型コロナウイルス感染拡大の予防対策としまして、職員の体調チェックやマスクの着用、手指消毒を行なっています。また、リハビリの記録を車内で行う、病院と兼務している職員を極力減らす等を行っています。

心に残るエピソード
ある利用者様がひ孫さんに会う事が人生の一番の楽しみだと言われていたのですが、今はなかなか会うことができず、会えたとしても新型コロナウイルスの感染が心配だとおっしゃいます。今まではひ孫さんに会えば、抱っこやハグやおしゃべりをする当たり前の世の中だったのですが、今は当たり前のことができなくなっているというのが現状です。我々は利用者様の運動機能の維持を支援させていただいていますが、ワクチンや治療薬が開発され、元の生活に戻った時に利用者様の体力や歩行能力が維持されていて、お孫さんやひ孫さんとまた楽しい時間を過ごしていただけるように、支援していかなければならないと考えています。

今後の課題
新型コロナウイルスの感染を懸念して訪問リハビリを一旦お休みしている利用者様について、筋力や歩行能力の低下といった事例があります。今後は訪問リハビリをお休みされている利用者様向けの自宅でできる体操ビデオ等の作成も必要だと考えております。また多くの職員が子育てをしている世代です。保育園や学校で新型コロナウイルスのクラスターが発生してしまいますと、子どもの預け先がなくなり出勤できなくなる職員が出てきます。また訪問看護ステーションの母体が市民病院になるのですが、新型コロナウイルスの患者さんを受け入れている状態です。新型コロナウイルスの患者さんの増加に伴って看護師の需要が高まりますと、訪問看護ステーションに勤務できる職員の数が減ってしまい、サービスの低下が起こってしまうことが懸念されます。皆様には感染対策を行なっていただき、家族以外との食事や飲み会を自粛していただき、これ以上感染を広めないことが医療体制の維持につながると考えております。
 
 

 
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