健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年9月13日

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●教えてドクター 
★9月のテーマ「予防接種の正しい知識」

名古屋大学大学院 医学系研究科 ウイルス学 教授
木村 宏 先生

予防接種は原理の点からいくつかに分類することができます。まず一つ目は、生ワクチンという生きている病原体です。例えば麻疹や風疹やBCG等のワクチンがこれにあたります。そして二つ目が不活化ワクチンです。これは病原体をホルマリン等で不活化し、死んだような状態で使うワクチンです。例えば日本脳炎やA型肝炎や狂犬病のワクチンがこれにあたります。また病原体の一部のたんぱくを精製して作ったワクチンがあります。その代表はインフルエンザワクチンです。そして最後に遺伝子組み換えワクチンといって、遺伝子工学的に病原体のたんぱく質を作り出し、それをワクチンとして使用するものがあります。例えばB型肝炎ワクチンやパピローマウイルスワクチン等がこれにあたります。このように最近では遺伝子工学的に抗原を作り出すことができるようになりましたが、病原体の中で抗原というものが予防接種の免疫の中心になっていることもわかってきました。それぞれのワクチンについては方法や接種する回数が違います。通常、生きているワクチンの接種は1回、不活化ワクチンの接種は3回になります。インフルエンザのワクチンについてはその効果があまり持続しないということと、毎年型が変わるということから、毎年接種しなくてはなりません。小児期に感染したり重症化したりしやすい疾患(はしかや小児麻痺等)に対しては乳幼児期に予防接種を受けることをすすめられています。一方、年齢を重ねることで重症化しやすい疾患(インフルエンザや肺炎球菌肺炎等)に対しては60歳以上の接種がすすめられています。特にインフルエンザや肺炎球菌のワクチンは60歳以上で基礎疾患がある方とすべての65歳以上の方には接種が推奨されていて、地方自治体から費用の補助がでておりますので是非受けられると良いと思います。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
真田昌代さん  
(社会福祉法人善常会 特別養護老人ホームオレンジタウン笠寺 施設長)

特に力を入れていること
私ども介護施設では本当に感染症対策に神経をすり減らす毎日です。職員は1日に何度も熱を測り感染予防策を徹底しています。自分たちが施設にウイルスを持ち込まないように、遊びにも行かず、飲みにも行かず、最善を尽くしています。そして入居者のご家族の皆様にもご協力いただいています。2月から面会制限はしてきましたが、3月からは面会を全面中止し、入居される要介護高齢者の方々の命を守る行動を最優先してきました。面会できないということは、ご入居者にとってもご家族にとっても不安ですし、寂しくご心配なこともたくさんあります。そんな時にオンライン面会で画面を通してお会いいただくことで少しでも不安の軽減を図りたいと思って取り組んでいます。ですが、耳の遠い方や意思疎通が難しい方も多くいらっしゃいますので、円滑なコミュニケーションはなかなか難しい状況です。

心に残るエピソード
このような状況下ですが、ご主人が入居しておられて、普段奥様が面会に通っていらっしゃるというご夫婦が私たちの施設にも何組かいらっしゃいます。ご高齢のご夫婦の場合オンライン面会はさらに難しい状況です。そんな折、奥様が差し入れの果物やお菓子と一緒にお手紙を添えられるようになりました。わたしが「ラブレターですか?」とお尋ねすると、「そうよ」とおっしゃって中身を見せて下さいました。そこには様子を案じるお言葉と共に「愛しています」と書いてありました。私も人のラブレターを見ることなんて経験がありませんので、照れるやら嬉しいやら、幸せな気持ちになりました。いくつになっても気持ちをちゃんと伝えられるご夫婦は素敵で見習いたいと思いました。こんなご時世なので私たちがオンライン面会という今どきのツールを提案しましたが、やはり心の通じ合える手紙が一番のようです。そんな手紙のやり取りをしているご夫婦が私たちの施設だけでも何組かいらっしゃいます。コロナ禍で改めてご夫婦の愛情が感じられる、ちょっと嬉しい出来事でした。

今後の課題
いつもなら買い物やご近所の方とのおしゃべりで体を動かしたりお口を動かしたりしていらっしゃる方々も、コロナ禍で自重しておられます。その結果として生活の不活発化につながり、体が動きにくくなったりしているように感じます。ウィズコロナの時代にどうやって町の高齢者の方々に安全に動いてもらう機会を創出できるか?これが地域ケアを担う私たちの今後の課題だなと思っております。
 
 

 
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