健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年9月6日

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●教えてドクター 
★9月のテーマ「予防接種の正しい知識」

名古屋大学大学院 医学系研究科 ウイルス学 教授
木村 宏 先生

予防接種の歴史は18世紀末の1796年にイギリスの家庭医であるエドワードジェンナーが、天然痘の予防のために牛痘という牛の天然痘を8歳の少年に接種したのが始まりです。ジェンナーは天然痘という致命率の高い恐ろしい病気を予防したいと考えていました。そしてたまたま牛の乳搾りをする農民たちが軽い牛の天然痘にかかると人の天然痘にはかからないというということを観察し、この方法を子どもに試したのです。その後19世紀にフランスのルイパスツールという人が狂犬病のワクチンを開発しました。狂犬病も致命率が100%という非常に恐ろしい病気です。パスツールは狂犬病のウイルスを弱毒化して、狂犬に噛まれた子どもに接種して狂犬病の発症を予防しました。予防接種にはジェンナーにあやかってワクチンという名前がつけられています。ワクチン(vaccine)のワッカというのは牛という意味です。現在、非常に多くのワクチンが開発されてたくさんの病気が予防できるようになりました。中でも種痘という天然痘を予防するワクチンは画期的で全世界に普及し20世紀末には天然痘を撲滅することができました。それくらい意義深いものです。多くのワクチンが開発されたことにより、天然痘や結核など非常に恐ろしい病気から、インフルエンザのような馴染みの深い病気まで予防できるようになりました。また単なる感染症だけではなく、がんを予防するワクチンもできています。例えば肝臓のがんを予防するB型肝炎ワクチンや子宮頸がんを予防するパピローマウイルスワクチンなどがあります。現在ではワクチンが開発されたことにより、ワクチンを受けることによって重大な病気にかからないように予防ができますし、あるいはかかっても重症化しないようにすることができます。また、がんなどの病気も予防することができるようになりました。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
野宮理恵さん(美幌町立国民健康保険病院 整形外科・小児科病棟 副師長)

特に力を入れていること
現在、病院内の災害訓練に力を入れています。最近日本でも本当に災害が多いので、いざという時に病院が機能しなくては地域の皆さんも不安だと思います。美幌町は小さい町ですが空港が近いので、万が一の時はあわてず対応できるように、スタッフ教育や重症度に合わせたエリア作り、十分な物品の用意、患者様を迎える準備や訓練に力を入れています。

心に残るエピソード
災害や救急の勉強をするようになってから、たくさんの人との出会いと冒険がありました。北海道の冬は氷点下になります。そんな時災害が起きたら避難所生活はどうだろう?ということで実際に氷点下対応の寝袋を持って、水も電気も使えない状況での訓練を24時間体験してたくさんの事を学びました。その翌年、北海道のブラックアウトがありました。訓練で学んだ事を近所の方々にも共有することができ、訓練がとても役に立ったことが印象的でした。

今後の課題
医師・看護師はもちろんですが、技師や事務など多職種のスタッフにそれぞれの役割があるので、訓練について全員に周知するのがとても難しく悪戦苦闘しています。今年は要点をまとめ、過去の写真を利用してスライドにまとめたものを作成し、全職員に説明した後に訓練を行なっていきたいと考えています。病院内でスタッフに周知できたところで、地域の皆さんや消防の方にも広め、災害時は地域が一丸となって乗り越えられる町を目指したいと思っております。
 
 

 
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