●教えてドクター |
名古屋大学医学部附属病院 中央感染制御部 教授
八木哲也 先生
<新型コロナウィルスと向き合う生活の注意点>
新型コロナウイルス感染症は多くの方がまだ未感染である新しい感染症ですので、一人一人が感染対策に注意して日常生活を送ることが大切です。無症状でも他人に感染させることがあるため、人から人への感染を完璧に予防することが非常に難しい感染症です。私たちが日常生活でできる対策はソーシャルディスタンスを保つ(人との距離をとる)等、3密と呼ばれる状態を避けることです。そういった中でマスクという防護手段があります。お互いがマスクをしていれば、ある程度距離を縮めて話し合いをすることがあっても、飛沫をマスクがブロックしてくれますので感染予防につながります。また、ウイルスは3日位感染力を保持して生存しているのではないかと言われています。不特定多数の方が触った物を触らざるを得ない場合もあり、そうした物を触った手で我々は無意識のうちに髪の毛や鼻や口の周りを触ったりしています。病原体の付着した手でそのようなことを行うと感染につながることになります。特に目の粘膜は感染ルートになりやすく、目の粘膜に付いたウイルスが喉に通じるということもあります。そのため我々の病院での感染対策としてゴーグルやフェイルシールドを使っています。手から他の部分にうつさないようにするためには、日常的に手洗いをきちんと行うことが大切です。新型コロナウイルス感染症はどの人にも感染しうる感染症です。大部分の人は軽症ですが「軽症だからいいや」と考えますと、病気が重くなって命を落とすリスクがある方にも感染させてしまう可能性があります。そういったことを予防するためには一人一人が感染しないようにし、全体としての感染者数を少なくする取り組みが必要となってきます。私も含めてすべての方々が、「マスクを着ける」、「ソーシャルディスタンスを保つ」、「手洗いをする」といった基本的な感染対策に注意して生活することがしばらく必要であると思います。