健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年8月23日

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●教えてドクター 
★8月のテーマ「新型コロナ感染症の現状と今後の課題」

名古屋大学医学部附属病院 中央感染制御部 教授
八木哲也 先生

<新型コロナウイルスの予防ワクチン>
新型コロナウイルス感染症に対する研究開発の結果として我々が待ち望んでいるのがワクチンです。新型コロナウイルス感染症に対して前もってワクチンを打っておけば、抗体が作られますので、ワクチンができれば非常に助かります。そのためには抗体を作って欲しいウイルスの成分を体の中に投与し、免疫反応をおこさせ抗体を作ります。そうしますとウイルスが入ってきたときもそれを認識して抗体が反応し、病気を予防してくれるであろうと考えられています。私たちが免疫力を獲得して欲しいウイルスの成分をどのように体の中に入れるか?という点では今新しい技術がいくつかあります。大阪で試されているDNAワクチンもその一つです。ただワクチンには抗体がどれくらい得られるか未知数だという問題もあります。また、新型コロナウイルス感染症にかかった人も時間が経つと抗体が減ってしまうという問題もあり、ワクチンで得られた抗体がどの程度長続きするのか?という問題もあります。さらに本当に得られた抗体で病気が予防できるのか?という検証すべき問題もあります。そういった意味ではワクチンの開発には時間がかかると思われます。麻疹や風疹のワクチンのように打てば一生効果が続くようなものは弱くなった生きたワクチン(生ワクチン)です。弱毒化したウイルスと戦って得た抗体ですので、その際獲得した免疫力は強力で長持ちします。一方インフルエンザワクチンなどは不活化ワクチンと言いまして、インフルエンザの一部分を抽出してワクチンとして使用しています。その場合一度ワクチンを打っても数カ月しか効果がありません。今回の新型コロナウイルス感染症に対するワクチンも不活化ワクチンですので、効果の持続期間については長くなく、一定期間経過したら追加の投与が必要になるのではないかと思います。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
名倉鮎里 さん(糖尿病・内分泌内科クリニックTOSAKI 臨床検査技師)

特に力を入れていること
糖尿病と新型コロナウイルス感染症の関係を心配される患者さんがとても多いです。我々もその不安にしっかり耳を傾けて、一人一人に必要な正しい情報を医師だけではなく、看護師や臨床検査技師、管理栄養士からも伝えるようにしています。また新型コロナウイルス感染症への感染を恐れて通院を中断することで健康状態が悪化しないよう、院内の常時換気とこまめな消毒を行い、受付と採血室には飛沫感染防止のためのシートを取り付け、待合室や診察室にはソーシャルディスタンスを保った椅子の配置を行っています。安心して来院していただける環境の確保と工夫を徹底しています。またどうしても感染を心配される方には車内で待機していただき、医師やスタッフが車へ向かい採血を行ったり、車内で診察を行ったりして対応しています。スマートフォンによるオンライン診療も行っていますので、是非利用していただきたいです。

心に残るエピソード
多くの患者さんから「スポーツジムに行けずに太った。」、「コロナの影響で1日中家にいてお菓子を食べてしまう。」という発言が聞かれます。体重が増えただけではなく糖尿病が悪化したケースもみられます。新型コロナウイルス感染症による外出自粛で、運動量が減ったことや自宅での間食が増えたことが大きく影響していると思われます。家の中でも簡単にできる筋トレやストレッチなどのインターネット動画もたくさんありますので、是非これからの生活の一部に取り入れていただきたいと思います。
<今後の課題や市民の方に伝えたいメッセージ>
対面診療による治療継続が望まれますが、どうしても来院できない場合でもスマートフォンによるオンライン診療などを活用することで治療を中断させないことが重要であると考えます。外出自粛で血糖値が上がってしまった方がたくさんみえます。どんな状況であっても必ず今飲んでいらっしゃるお薬は中断されないようにお願いします。
 
 

 
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