健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年8月16日

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●教えてドクター 
★8月のテーマ「新型コロナ感染症の現状と今後の課題」

名古屋大学医学部附属病院 中央感染制御部 教授
八木哲也 先生

<新型コロナウイルス感染症の治療>
新型コロナウイルス感染症に対して、科学的に立証された有効なお薬はまだ無いのが現状です。大部分の軽症な人や無症状な人で感染がわかった人は、治療をするというより他の人にうつさないような対策が必要です。そのため宿泊施設に入っていいただいたり、自宅で安静にしていただいたり、医療機関に入院していただいたりしています。これらは他の人にうつさないための対策の一環です。一方でその中の一部の方は肺炎がおきて酸素投与が必要となりさらに重症化して人工呼吸器管理や人工肺による治療が必要になってくることもあります。そうなると対策が違ってきます。ウイルスは細胞の中に侵入し、細胞の中で増殖してまた細胞から出ていって他の細胞に感染し、ウイルスの数はどんどん増えて人間の体を蝕んでいきます。そのウイルスが増殖する過程のどこかをブロックすることによって治療するため直接抗ウイルス作用を発揮する薬剤で治療する方法が一つあります。もう一つの方法は新しいウイルスが体に入った時におこる免疫の過剰反応を抑え、死亡することを防ぐ薬剤です。ウイルスが人に感染した時に人の体が反応しますが、特に新しい病原体が入った時などは人間の体が過剰反応します。新型コロナウイルス感染症で重症化する人は、免疫反応が過剰反応していると言われています。新しいターゲットのお薬を作るのは非常に時間がかかりますが、これまでに人にも使用されたことがあるような薬剤が新型コロナウイルス感染症にも効き目があるとわかれば比較的安全に効果があるかどうか試すことができます。今話題になっているアビガンや大村先生がノーベル賞を受賞されたイベルメクチンなど色々な候補薬があります。そういった薬が今臨床試験で試されています。我々も有効であると科学的に証明されたお薬が早くできることを待ち望んでいます。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
染野徳一 さん(名古屋市 社会福祉協議会)

特に力を入れていること
私たち社会福祉協議会は、誰もが生き生きと安心して暮らせる地域を目指して、支えあいやふれあい、つながり作りを進めるため地域住民やボランティアの皆さん方と一緒に地域福祉活動を推進している団体です。ですが今は新型コロナウイルス感染症の拡大により、力を発揮しにくい状況にあります。身体機能の低下や気持ちの落ち込みを防ぎ、つながりを途切れさせないためにできる活動はないかと検討し、支援を行っていく必要があると感じています。例えば地域には「ふれあいいきいきサロン」という誰でも気軽に集まり、交流することができる身近な場所があります。そこで、しっかりと感染防止対策を行ったり、三つの密を防止するため一度に集まる人数を減らしたり、集まる時間を短くしたり、広い会場に変更したり、息が上がる運動を控えて自宅でできる体操のプリントを配布したり、工夫しながら活動しています。また、戸別訪問や電話などにより交流を深めているところもあります。コロナ禍においても工夫しながら活動を続けている地域住民やボランティアの皆さん方がいらっしゃいますので、このような取り組みをもっとPRしなければいけないと思っています。

心に残るエピソード
地域住民の皆さん方が住民のご様子を確認する方法として、お手紙を持って戸別に訪問活動を行ったという取り組みを聞きました。そういった取り組みを通じて改めて誰かとつながっていることや支えたり支えられたりしていることの大切さに気付き、より一層地域の連帯感が深まったようです。 また「子ども食堂」という活動については、現在会食は難しいのですが、「フードパントリー」といって食品を持ち帰ってもらう活動に切り替えて実施した食堂もあると聞いています。コロナ禍においてはおそらく生活に不安を抱えたり、孤立したりしている世帯が少なからずあると思いますので、こういった活動はとても大切だと思います。地域住民やボランティアの皆さん方の柔軟な発想や行動力に感銘を受け、とても心に残っています。つながることをあきらめずに感染防止策を講じながら活動する方法や工夫を集め皆さんに提供しつつ、悩みや葛藤を持ちながら活動している地域住民やボランティアの皆さんたちと共に知恵を出し合いながら地域福祉活動を推進していきたいと思っています。地域の方たちからも、わからないことや知りたいことがあれば、名古屋市社会福祉協議会にお電話などでご相談いただけたらと思います。
 
 

 
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