健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年8月9日

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●教えてドクター 
★8月のテーマ「新型コロナ感染症の現状と今後の課題」

名古屋大学医学部附属病院 中央感染制御部 教授
八木哲也 先生

<新型コロナウイルス感染症の検査>
新型コロナウイルス感染症を診断する検査としては、大きく分けて「PCR検査」、「抗原検査」、「抗体検査」の3種類があります。PCR検査と抗原検査というのは、ウイルスが増えているかどうかを直接調べるものです。PCR検査はウイルスの遺伝子を、抗原検査はウイルスの成分の一部を検出する検査です。一方で抗体検査というのは、ウイルスに感染した人の体が反応してできた抗体を調べる検査です。ですから抗体検査で陽性であるということと、PCR検査や抗原検査で陽性であるということは、少し意味が違います。抗体検査で陽性になったとしても、それがいつ感染したものかはわからないということになります。診断を確定するにはPCR検査もしくは抗原検査が必要となります。目の前の患者さんを診断するための検査と、過去の感染の履歴を調べる検査と区別しなければならないと思います。抗体検査が全く有用ではないかというと、そうではありません。「一体過去数カ月の間にどれだけの人が感染したのだろうか?」といった疫学的な調査などで活用できます。そのような場面で抗体検査の強みが発揮できると思います。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
早川裕加 さん(医療法人偕行会 法人本部 海外人材開発部 課長)


特に力を入れていること
日本では生産年齢人口がどんどん減少していくなか、いわゆる2025年問題と言われる超高齢化社会が訪れようとしています。慢性的人材不足が続く医療や介護の現場においても、担い手の人材がさらに不足する深刻な状況に直面することになります。私の職場である医療法人偕行会ではそれを見据えたうえで数年前からEPAや技能実習生などの制度を利用して外国人の受け入れを行ってきました。もともとは複数ある事業部署で、それぞれ外国籍の人材の受け入れを行ってきましたが、人材の確保、受け入れ、支援を集中的に行うために昨年12月に海外人材開発部が新設されました。現在、受け入れ・支援を行うなか、私たちは外国と日本の違いについての距離が縮まるように、そして外国人と日本人が親密になるように、ということに主軸を置いて構築を進めています。例えば日本側の習慣や文化を相手に教えること、そして相手の国の文化や習慣を教えてもらうことなどを行っています。

心に残るエピソード
外国人の方と接すると家族を大事にしたり、宗教心が強かったりすることをよく感じます。日本ではなかなか無い心温まる場面をよく目にします。ある日、外国人の寮に招いていただき母国料理をご馳走になったことがありました。9名の同じ国籍の外国人スタッフが集まって皆で食事をしたのですが、彼女たちから自分の国のこと、家族のことや友達のこと、どんな風に過ごしてきたのか、日本についてはどう思っているのか、などたくさんの話を聞きながらのあっという間の時間でした。その時私は一生懸命話をする彼女たちから、自分たちの国や自分たちの事をわかって欲しいという気持ちを強く感じました。たくさんの話の内容はそういった心の表れであると思いました。

今後の課題
課題は私たち日本人と外国人の双方にあると思います。日本人は他文化を受け入れ理解する心のゆとりを持つことが必要であると思います。そして外国人は日本文化や日本の習慣を理解する必要があると思います。お互いを理解しあうというところまで持っていくことが私たちの目標です。冒頭でも申し上げましたが、生産年齢人口の減少が深刻化するなか、外国の人たちの力をお借りすることは必須です。外国の人たちと共生し、より良い社会を築いていくためには、お互いを知り理解しあうことがとても重要なことだと思います。そのために私たちは日々創意工夫をしながら、変革・進化をしていく必要があるかと思います。
 
 

 
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