健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年7月26日

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●教えてドクター 
★7月のテーマ「新型コロナと向き合う中での熱中症対策」

藤田医科大学 救急総合内科 教授
岩田充永 先生

年齢を重ねますと元々人間が持っている体温調節機能が衰えてきます。さらに暑さや喉の
渇きに対して感覚が鈍り、環境の変化やご自身の体調の変化に気づきにくくなることが心配されます。熱中症になりやすい日は、高齢者に対してご家族や周囲の方が、こまめに連絡しコミュニケーションをとることがとても大切です。またご高齢の方で心配なのは、「自称熱中症」とよんでいますが、暑い季節に「ふらふらして気分が悪い。だから自分は熱中症だ。」と思い込んでいたら実は肺炎だったり、脳卒中だったりすることがあります。そのように怖い病気を見逃している場合もあります。ですので涼しい環境にいるのに体調が悪い時は他の病気の可能性を疑って、かかりつけの先生に相談することが大切です。また水分を食事とは別に少なくとも1リットルから1.5リットル位補給すると、熱中症予防には最適だと言われています。そして、熱中症予防には水分補給が大事だということはよく言われていますが、同時に塩分の補給も必要です。汗をかくと塩分も失われます。汗を1リットルかくと塩分が3~4グラム位失われてしまいます。お水を1リットル摂るときに梅干し2個程食べると適切な塩分補給ができます。普段は高血圧の予防などで減塩ということが言われますが、汗をかくような作業をしていたり、いつもより暑かったりする時は、水分補給と同時に梅干し2個程度の塩分補給も必要です。暑い季節にどうしても外出しなければならない時にお味噌汁を飲むのは塩分補給という点でとても良いと思います。
 
医療コラム 新型コロナによる「超過死亡」に世界が注目
論説室 後藤 克幸

未知のウイルスである新型コロナウィルスと向き合ってきた2020年前半が過ぎました。これまでの状況を冷静に検証して、今後の社会の在り方を考えていくことが、2020年後半の課題です。

そんな中、今世界で今、注目が集まってきている指標があります。それは「超過死亡」という指標です。「超過死亡」とは、今年の国全体の死亡者の数が、例年の平均的な死亡者の数と比較して、どれ位多いかを調べた数字です。WHO(世界保健機関)も推奨している指標で、新型コロナウィルスという今年特有の要因が、その国全体の死者数の増加にどのほどの影響を及ぼしたのかを、より正しく見るために重要な指標なんです。

なぜ「超過死亡」を見るとより正しい社会の状況が見えてくるのか?政府や自治体が発表する「新型コロナ感染症による死者数」は、新型コロナウィルスが直接原因で亡くなった患者さんの数です。しかし、新型コロナウィルス感染症と診断されて亡くなった方以外にも、別の病名で亡くなった方の中に、検査を受けていなかっただけで、実は、新型コロナウィルスに感染していた人がいたかもしれません。さらに、新型コロナの感染拡大による医療現場の混乱や医療崩壊などの状況により、本来受けるべき病気の治療を十分に受けられずに病状が悪化して亡くなった方がいたかもしれません。このように、直接・間接を問わず、新型コロナ感染症の流行によってもたらされた、今年特有の死亡者数の増加が、「超過死亡」を見ることによって見えてきます。これは、新型コロナ感染症と診断された人だけをカウント空いた公式統計よりも多いはずです。充分な医療体制が整い、有効な社会政策がきちんととられていれば、本来、救われたはずの命、とも言えます。

今後の社会政策を考える上でとても重要な指標として、世界の専門家が注目しているのが、この「超過死亡」という指標です。

具体的にどんな数字か、各国のデータを見てみましょう。イギリスのBBC放送が独自に取材した数字を報道しています。アメリカでは、2月から5月の平均的な平年の死者数に比べて、今年の死者数は16%多かったそうです。ブラジルでは、3月から5月の今年の死者は平年よりも38%も増加していました。イタリアでは、2月から4月の今年の死亡者は、平年より40%も多く、スペインでは、平年より50%も増えていました。日本はどうかと言いますと、1月から3月の数字がでていますが、例年の死者数を上回る「超過死亡」は0.3%と発表されていて、ほぼゼロ。しかし、知りたいのは、緊急事態宣言が出された4月以降の数字ですが、4月から6月の数字は2カ月遅れで発表されることになっていますので、まだ正確な数字が出ていません。この数字を今後、注目していきたいと思います。

「超過死亡」・・・この数字をもとに今後の感染症対策をしっかりと見直していくことが今後の重要な課題となりそうです。
 
 

 
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