健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年7月19日

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●教えてドクター 
★7月のテーマ「新型コロナと向き合う中での熱中症対策」

藤田医科大学 救急総合内科 教授
岩田充永 先生

熱中症になりやすい炎天下で、調子が悪そうな人がいた場合、声をかける時は少し距離をとってお声がけして下さい。また、咳などの新型コロナウイルス感染症の症状がなく、朝までは元気だったのに、昼頃に急に体調が悪くなった場合は熱中症の特徴的な症状といえます。そういったことを上手に聞き出してあげることも大切です。そして救急車を呼ぶ基準ですが、ご自身で動けないような状況であれば救急車を呼んだ方が良いと思います。立ち上がれず、足腰が動かせないようになったら非常に危険な状態です。もちろん呼びかけても全く意識が無い時はすぐに救急車を呼ぶ必要があります。応急処置としてできることは限られていますが、涼しい所に移動させ、可能であれば太い血管や、脇の下や首などを氷で冷やして体温を下げることはとても大切です。水分の補給については、ご自身が水分を摂れるようであれば、水分を飲ませてあげることは大切ですが、意識がもうろうとしている時に無理に水分を与えると、むせてしまうこともあるので注意が必要です。熱中症予防で最も大切なことは涼しい環境にいるということです。私たちは3月下旬から5月の中旬まで不要不急の外出を避けて、「ステイホーム」ということを言われてきました。これは熱中症にも共通していて、暑い日は「ステイホーム」を心がけて下さい。そして炎天下では日傘や帽子を使って、日差しを直接浴びないようにして下さい。また夏のクーラーの使用は節電との兼ね合いが大切になりますが、今年はさらに新型コロナウイルス感染症との兼ね合いも関わってきます。節電を意識するのであれば昼は「クールシェア」と言っていますが、ショッピングモールなどの涼しい所で過ごし、自宅の冷房を使わずに済ますのが良いでしょう。ただしそういった場所では新型コロナウイルス感染症予防のためマスクなどの使用が必要です。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
羽柴知恵子さん
(国立病院機構 名古屋医療センター 看護部・エイズ治療開発センター 外来副看護師長、HIVコーディネーターナース)


特に力を入れていること
名古屋医療センターではHIV感染者の方の負担を軽減し、安心して治療を続けていただくため多職種の専門職がHIV感染症の診療に参加するチーム医療を実践しています。スタッフ同士で連携しながら感染者の方の通院・入院生活をサポートしています。私はHIVコーディネーターナースなのですが、このHIVコーディネーターナースは薬害エイズ被害者の方の教訓をふまえて、被害者の要望により創立されました。患者さんに開かれた医療を提供することを目的にチーム医療・包括医療システムの中で個々の患者さんの側に立ってサポートするスタッフです。私たちはそれぞれの患者さんに対して、感染告知直後の一時的な関わりではなく、患者さん自身が病気の知識を身につけることや、治療・療養生活に関する意思決定の支援、生活上の困りごとや性生活の問題など、療養生活を続けるうえで必要になることはないかという看護の視点で対応しています。

心に残るエピソード
私事ではあるのですが、出産のために少しお休みをいただいておりまして、最近復職致しました。通院されている皆さんは「家にずっとこもって出掛けていないので、こうして受診に来ることで普通に一人の人としてお話してもらえるのが嬉しい。」「久しぶりだね。元気だった?ちゃんとお薬を飲んで、こうして会えるのが嬉しい。」「顔をみると元気が出て、また頑張れるよ。」とお話して下さる方が多くいらっしゃいます。患者さんには病気とともに生きていくなかでも、常に病気よりも優位な立場に立って生活していただきたいと思っています。患者さんが少しでも元気になって生活されている姿を、外来受診の時に見ることができるのをとても嬉しく思っています。HIV感染症も治療によって、血中のウイルス量が減ると他の人にHIVを感染させてしまうことがないことが明らかになりました。つまりHIV感染者は早期に診断されて治療のレールに乗れば、自分自身も健康な生活を送ることができるうえに、他人にウイルスを感染させることがないという効果もあることになります。治療をしていればどこでも働けますし、他の病気になって臓器移植を受けることも可能です。女性であればパートナーにも赤ちゃんにも感染させることなく出産ができ、大人になるまで育ててお孫さんを見ることもできます。HIVやエイズの正しい知識を持ち病気に対する正しい理解が広まって、共に社会生活をする人として捉えることができる、そんなHIV感染者にとって過ごしやすい社会というのは、その他の人にとっても過ごしやすい社会であると思います。そういった差別がなくなっていく社会を作ることに少しでも貢献できたらと思っています。
 

 
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