健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年7月12日

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●教えてドクター 
★7月のテーマ「新型コロナと向き合う中での熱中症対策」

藤田医科大学 救急総合内科 教授
岩田充永 先生

新型コロナウイルスの感染予防と熱中症の予防という点において、マスクというのは確かにバランスが難しいです。暑い日マスクをして外を歩くと3時間でものすごく息苦しくなることがあります。またマスクをしていると口腔内の湿度が保たれ、喉があまり渇きません。本来熱中症の予防のためにはこまめに水分や塩分を摂ることが大切ですが、あまり喉の渇きを感じないことにより水分の摂取量が減ってしまうことが懸念されます。まず新型コロナウイルスの感染を広げないためのマスク着用という観点では、フィジカルディスタンスをとることでマスクをしなくても良い環境を作ることはとても大切です。具体的に言いますと2メートル位人と人が離れている環境を保てば、屋外ではマスクをつけなくても良いということが厚生労働省からも言われています。そういう点ではあまり暑い日に密になって行動するのを避けることが何よりも大切です。そもそもマスクをつけての外出が辛いような日は、外出を控えできるだけ快適な環境で過ごすということが熱中症予防においては大切なことです。どうしても移動などで屋外にでなければならない時は、日傘などを使うとそれだけフィジカルディスタンスを保つことができます。そういったことでマスクをはずすような環境を作り出すということが熱中症予防という点でも、新型コロナウイルス感染予防という点でも、大切なことだと思います。エアコンについてですが、換気機能が付いているエアコンは非常に少ないです。一般的なエアコンには換気機能が無いものが多いです。エアコンを使用している時も窓を開けての換気は非常に大切です。なお病院などは定期的に換気がなされているので、過剰に心配する必要はありません。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
平野さち子 さん(日進おりど病院 在宅医療センター 看護師)

特に力を入れていること
暑い季節になってきましたが、高齢の方の中には積極的に水分を摂られない方が多くいらっしゃいます。訪問時に普段水分をどの位飲まれているのか?どのようなタイミングで飲まれているのか?を必ずお聞きするようにしています。限られた時間の中で生活の様子を把握させていただき、日常生活の中で脱水症状を起こしてしまう要因がないか確認させていただいています。必要であれば「こうした方がいいですよ。」と提案させていただく時もあります。水分を摂る様子を見させていただくことで、飲み込む能力の状態の確認もできます。高齢の方はむせるため飲むことを嫌がる方もいらっしゃいますので、嚥下機能の確認をすることも必要だと思っています。嚥下が困難な状態がみられた場合には、嚥下リハビリのスタッフもおりますので、相談しながら生活の応援をさせていただいています。

心に残るエピソード
私はおりど病院の病棟の方で勤務させていただいたことがありました。がんの末期で入院された患者様がいらっしゃったのですが、入院当初は歩行も安定せず、中心静脈栄養の点滴や膀胱留置カテーテルを使用されている状態でした。自宅への退院を希望されてリハビリを一生懸命に頑張って、主治医の退院許可がおりました。家族も自宅での療養を希望され、多職種の連携もあり退院することができました。私は訪問看護への異動が決まっていたので、「退院したら会いに行きますね。」と伝えたところ、嬉しそうに「待ってるね。」と言って下さいました。その後、実際に訪問させていただいた時に、本当に終末期の状態なのかと疑うほど回復され素敵な笑顔で迎えてくださいました。在宅で過ごすということは、やはり生きる活力があふれてくるのだなと実感した出来事でした。

今後の課題 
現在訪問させていただいている利用者様は、難病を抱えている方や慢性疾患を抱える独居の高齢の方や高齢のご夫婦など様々な方がいらっしゃいます。今直面している問題について話し合うことはできるのですが、今後起こるかもしれない問題や最期を迎える場所等については中々話し合う機会を持つことができません。今後の社会的問題を前にアドバンスケアプランニングについて私たち医療者がまず理解を深め、利用者様お一人お一人がどのような生き方を望まれているのかを早い段階で話し合い、利用者様の思いを尊重したケアの提供ができるように、域の多職種が一つのチームとなり向き合っていけるようにしていきたいと思っています。
 

 
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