健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年6月7日

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●教えてドクター 
★6月のテーマ「薬局と薬剤師の最新情報」

金城学院大学 薬学部 教授
網岡克雄 先生

新型コロナウイルスに関しては、「三つの密を避ける」、「手洗いが有効」等を念頭に置き皆さん努力してきました。その結果世界に比べれば日本は比較的落ち着いた状態でここまできたと思います。新型コロナウイルスに対する薬としてはアビガンが非常に期待されています。医薬品の承認のためには、臨床試験(患者さんにお薬を使って、有効性と安全性を確かめる試験)を行います。お薬に有効性があっても、安全性が非常に低い場合は世の中に出してはいけません。今回のアビガンというお薬も新型コロナウイルスへの使用が非常に期待されてはいますが、臨床試験の結果を飛び越えて使用することはできません。現在、現場では一生懸命にアビガンの臨床試験を行っています。臨床試験無くして薬の承認はあり得ません。臨床試験にはある程度の症例の数が必要です。また検査の値や、症状の改善の様子、また薬を使用した際の安全性等をデータとして蓄積し、分析・解析して、本当に効果があるかどうかを判断します。本当にこの薬が皆さんの健康の役に立つのかどうか、という冷静で科学的な判断が必要です。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
垣越咲穂 さん(国立病院機構 豊橋医療センター 薬剤部)

特に力を入れていること
現在豊橋医療センターで8年目の薬剤師として勤務しています。病院薬剤師として調剤業務や製剤業務を行っている他、脳神経外科病棟の担当薬剤師もしています。当院には脳卒中センターが設置されておりまして、私は多職種によるチーム医療を行ったり、脳卒中チームの担当をさせていただいたりしております。お薬を飲み続けなければならない患者さんの服薬指導には、特に力を入れています。お薬の副作用を理解していただくこと、服薬継続の必要性を理解していただくことが重要です。服薬管理の方法も検討することがあり、どのようにすれば毎日忘れずに服薬を継続していけるだろうかという検討を、患者さんとそのご家族の生活に寄り添いながら、看護師やリハビリスタッフと連携して行っています。また栄養サポートチームの担当薬剤師もしており、多職種チームで患者さんの栄養管理を行っています。経口摂取できる患者さんには食べやすい食形態や補食を検討しています。また経管栄養の患者さんに対しては、全身状態をみながら、栄養剤の選択や薬剤の変更等の提案を行っています。

心に残るエピソード
感染症で抗菌薬治療を行っていた患者さんを担当した時のお話をします。その患者さんはお薬の副作用が出てしまいました。治療に前向きに頑張って下さっていたところでしたが、お薬を休薬しなくてはなりませんでした。しかしこのお薬は副作用をコントロールしながら続ける必要がありました。副作用の恐怖との戦いであったと思います。私はできるだけ毎日お薬を飲んだ後に病室を訪ねてお話を伺っていました。不安な気持ちを共有して、副作用の兆候があればすぐに教えていただき、医師と相談しながら治療を進めました。その患者さんはとても辛抱強く頑張って下さいました。治療が上手くいき退院が決まった後は、調剤薬局さんに情報提供して、服薬継続の支援を行いました。その後外来にいらしている際にお会いしたのですが、「治療が終わったよ。」と聞いた時は、本当に嬉しい瞬間でした。薬剤師として何ができるかということをとても考えさせられる出来事でした。

今後の課題 
現在、病院薬剤師と薬局薬剤師が連携して患者さんのためにシームレスな医療を行えるように、薬・薬連携を進めていきたいと考えています。退院したら治療が終わりというわけではありません。お薬を飲み続けなければならない患者さんのサポートをどのようにしていくと良いだろうか?ということを日々考えています。取り組みの一つとしては、「薬剤適正使用のための施設間情報連絡書」などの書面を用いた情報共有を病院と薬局間で行っています。病院からは入院中の経過や薬物治療について、薬局からはご自宅での生活や服薬管理について情報共有をしています。このような取り組みも含め、連携により「薬剤師に話してみることで治療がうまくいくようになったよ。」という患者さんが増えていったらいいなと願っています。
 
 

 
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