健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年4月5日

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●教えてドクター 
★4月のテーマ「嚥下障害」

愛知医科大学 耳鼻咽喉科 教授
藤本保志 先生

嚥下というのは飲み下す、ご飯を食べるということなのですが、その裏に安全な呼吸の確保というとても高度な運動を含んでいます。生まれた時から何も考えずにお乳を飲めるわけです。そこから始まって、離乳食を経て乳離れをして咀嚼して嚥下するということを獲得していきます。そして年を重ねていったり病気になったりすると、嚥下が少し難しくなります。初め赤ちゃんはおっぱいを吸いながら呼吸をすることができるように、誤嚥しにくい喉頭の位置を確保しています。喉仏がとても高いところにあるのです。それは実は犬や馬とよく似た構造になっています。それがだんだん音声/言語が発達するに従って、喉頭が下がってきます。誤嚥しやすい位置になりますが誤嚥しない仕組みになっています。脳から様々な筋肉や色々な神経が同時に働く仕組みが強固にプログラムされています。いつも一つのパターンでたくさんの筋肉が連動するようになっています。例えばお蕎麦を食べる場合は、息を吸いながら、お蕎麦も入ってくる、ネギも入ってくる、たまにシナチクも入ってきます。それを選り分ける構造がノドなのです。そのノド(咽頭・喉頭)という交差点に信号機(センサー)がついています。そして圧力を作る色々な筋肉(舌や舌根や喉の筋肉)があります。咽頭に食べ物が入ってきた時にセンサーが頭の中に信号を送って、反射で飲み下すというプロセスを大体0.3秒で行います。年を重ねるとこの機能に色々な問題が起こります。問題は大きく分けると二つあります。まず食べ物の通り道に障害物があると当然物が通らなくなります。ノドの腫瘍や奇形、がん等が原因となります。もう一つは働きの問題です。気道を守る働きがうまく動かなくなるということです。大きく分けるとこのように物理的な問題と機能的な問題に分けられます。
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
小原道子 先生(岐阜薬科大学 地域医療薬学寄付講座 特任教授)

★力を入れて取り組んでいる事
在宅医療、災害医療、多職種連携、健康サポート薬局機能についての研究活動をメインに行っています。現在は災害医療に用いられるモバイルファーマシーという移動薬局車両も備えており、地域にも時々出かけています。その中で強く感じることは、生活環境と医療支援の方法は密接に関わっているということです。地域の皆様が安心して暮らせるための適切な医療支援や生活支援、地域環境に応じた健康寿命延伸のための街づくりを、私たちも積極的に行っていく必要があると感じています。岐阜県には「燦燦の会」という岐阜の伝統野菜を大切にする皆さんの集まりや、山の中の天然素材を使ってお蕎麦や天ぷらを出して下さる、地域の産直所「ふれあいバザール」など、自発的な健康維持を行う場所や人々が多く、大変地域力を感じます。

★心に残ったエピソード
私は、1995年より宮城県の小さな町や村で訪問薬剤師をしていました。まだ介護保険制度が始まる前でしたので、薬剤師が自宅を訪問するということは、ほとんどありませんでした。薬をお届けするだけではなく、薬を安定して飲んでいるかとか、薬の飲み残しがないかなど、色々な視点で私たち薬剤師が介入できると思い、そういったことを細かくケアさせていただいておりました。訪問したお宅の方とは今でも交流があります。昨年ちょうどお声がけをいただいて、会いに行ってきました。そうしますと当時お姑さんたちをお看取りした皆さんたちが「自分たちの健康は自分たちで守らないといけないよね。」と言いながら、定期的に集まってお互いが教えあいながら健康体操などを行っている姿を見て非常に感動しました。このような集まりに、時々薬剤師を含めた医療従事者が介入することで、身近で健康に対する意識訴求ができる可能性があるという気づきも得ることができました。

★今後の課題
医療の専門職の方はたくさんいらっしゃいますので、自分の職能だけでなく、様々な職能の人を巻き込んでいきたいと思います。昨年の流行語ですが「ONE TEAM」で取り組みが出来たら良いと思います。また大学の教員として、地域の現状を学生と共に体験し、次世代の人材育成をすることがとても大切だと思います。
 
 

 
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