●教えてドクター |
総合在宅医療クリニック 管理栄養士
安田和代 先生
2018年11月に厚生労働省より「ACP(アドバンスケアプラニング)」という言葉を掲げ「自分の最期をどのように過ごしたいかを自分で決めましょう。」という提言がありました。そこで私達は、「食べる事において自分はどうしたいのか?ということを、それぞれの人が早い段階から考えていきましょう。」ということをお伝えしております。食べるというと口から食べる事をイメージしますが、口から以外にも、胃ろうであったり、腸ろうであったり、あるいは消化管が使えない方の場合、静脈栄養という栄養摂取の方法もあります。そういった栄養の摂り方を、したいか?したくないか?を考えていただきます。最終的にはご本人・ご家族と主治医とのお話合いになりますが、なかなか医師からの説明だけで患者さんやご家族が理解されることは難しいと思います。そこで「この患者さん分かっていらっしゃるかな?」と気に掛け、「こういうことですよ。」「こういう選択肢もありますよ。」ということを丁寧にご説明することを心掛けています。患者さんによっては、「口から食べる事にこだわりたい。」と思われる方もあります。そこで、「この方はどうして口から食べる事にこだわりたいと思っていらっしゃるのか?」と掘り下げて、「この方が持っていらっしゃる情報量はどのくらいなのかな?」「よく考えて決められたのかな?」「それともよくわからないままに、口から食べたいと言っていらっしゃるのかな?」というところまで推し量ったりします。胃ろうを作りたいとしても、胃ろうを作ることができるタイミングがあります。迷っている間にそのタイミングを逃してしまうことがあります。ですので、例えば胃ろうを作りたいと思った時に、作れるタイミングで迷わずできるように、あらかじめ患者さんやご家族のお気持ちを確認して、必要な情報をお届けしたいと思っています。食は家族と共に過ごす日常です。その日常を自分でどのように選んで生きていくのかを考えていただき、その人らしく生き続けていけるように、早い段階から食の意思決定を支援できるきっかけ作りをご提案していきたいと思っております。