健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年3月29日

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●教えてドクター 
★3月のテーマ「在宅医療と栄養管理」

総合在宅医療クリニック 管理栄養士
安田和代 先生

2018年11月に厚生労働省より「ACP(アドバンスケアプラニング)」という言葉を掲げ「自分の最期をどのように過ごしたいかを自分で決めましょう。」という提言がありました。そこで私達は、「食べる事において自分はどうしたいのか?ということを、それぞれの人が早い段階から考えていきましょう。」ということをお伝えしております。食べるというと口から食べる事をイメージしますが、口から以外にも、胃ろうであったり、腸ろうであったり、あるいは消化管が使えない方の場合、静脈栄養という栄養摂取の方法もあります。そういった栄養の摂り方を、したいか?したくないか?を考えていただきます。最終的にはご本人・ご家族と主治医とのお話合いになりますが、なかなか医師からの説明だけで患者さんやご家族が理解されることは難しいと思います。そこで「この患者さん分かっていらっしゃるかな?」と気に掛け、「こういうことですよ。」「こういう選択肢もありますよ。」ということを丁寧にご説明することを心掛けています。患者さんによっては、「口から食べる事にこだわりたい。」と思われる方もあります。そこで、「この方はどうして口から食べる事にこだわりたいと思っていらっしゃるのか?」と掘り下げて、「この方が持っていらっしゃる情報量はどのくらいなのかな?」「よく考えて決められたのかな?」「それともよくわからないままに、口から食べたいと言っていらっしゃるのかな?」というところまで推し量ったりします。胃ろうを作りたいとしても、胃ろうを作ることができるタイミングがあります。迷っている間にそのタイミングを逃してしまうことがあります。ですので、例えば胃ろうを作りたいと思った時に、作れるタイミングで迷わずできるように、あらかじめ患者さんやご家族のお気持ちを確認して、必要な情報をお届けしたいと思っています。食は家族と共に過ごす日常です。その日常を自分でどのように選んで生きていくのかを考えていただき、その人らしく生き続けていけるように、早い段階から食の意思決定を支援できるきっかけ作りをご提案していきたいと思っております。
 
 
医療コラム 日本初の「ホスピタルラジオ」に期待!
論説室 後藤 克幸

病院に入院している患者さんとご家族のために、癒しの音楽や、医療の最新情報などを届ける「ホスピタルラジオ」という、病院内限定のラジオ放送局をご存知でしょうか?病院内のWifiシステムを使って、病院の中だけで聴けるラジオ放送で、イギリスの病院で始まったものです。イギリスでは現在200以上の病院で、ホスピタルラジオの放送が行われています。日本では今までありませんでしたが、愛知県豊明市の藤田医科大学病院が去年の12月、日本で初めて、このホスピタルラジオを開局しました。

患者さんは、手持ちのスマートフォンからQRコードを読み込んでラジオを聴きます。パーソナリティーからディレクター、ミキサーまで藤田学園の職員がボランティアで運営しています。放送の内容は、病院の医師や看護師、さらに様々な職種のスタッフが出演して、病院が取り組む最新の医療情報を伝えるほか、院内コンサートなどのイベントの模様、そして朗読ボランティアの朗読や患者さんから寄せられる声の紹介・・・と、多彩な企画が並んでいます。

病院スタッフによる手作りの放送を作り上げるという日本で初めてのチャレンジをサポートするため、番組作りのノウハウや放送技術などの面で私たちCBCグループもお手伝いをしてきました。

病院に入院すると、患者として療養するわけですが、病気になる前は皆さん、個性的なそれぞれの人生を生きてきた人たちです。ホスピタルラジオでは、それぞれの人生を綴った患者さんやご家族のメッセージが、放送で紹介されるので、一人の人間として、病院の中でも尊重されているという実感が湧いてきます。また、ラジオを通して病院スタッフが身近な存在に感じられますし、コミュニケーションもきっと深まると思います。日本の病院に新しい医療文化を生み出してくれる「ホスピタルラジオ」の今後の発展が楽しみですね。
 
 

 
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