健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年3月15日

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●教えてドクター 
★3月のテーマ「在宅医療と栄養管理」

総合在宅医療クリニック 管理栄養士
安田和代 先生

私達は看取りの時期における食支援を「きずなとしての食支援」と言っています。看取り期の食支援というと、お医者様に「それって亡くなる直前の食の支援?」等の質問を受けるのですが、そうではないのです。食の持つ役割を考えると、生きるための栄養補給としての食があります。次に、ご本人にとって喜びや楽しみとしての食があります。さらに3つ目の役割として、「きずなとしての食」ということを考えております。家族とのきずな、地域とのきずな、また過去と未来を結ぶ時間のきずな…。
例えばお父さんは昔から「おかあさんがつくるぼたもち」が大好きだったけれど、そのお父さんがこの頃はぼたもちを食べられる状態ではなくなったとします。それでも「せめてあんこだけでも食べさせてあげたい」とご家族は思い、私たちはそれをお手伝いします。ぼたもちを通して、お父さんとお母さんの「家族のきずな」が結ばれます。また、お母さんがぼたもちを作るのは、いつもお祭り等、人が集まる時だった。ぼたもちは「地域の人達とのきずな」を思い出す食べ物です。また、おそらくこのお宅では、このお父さんが旅立たれた後も、お父さんのことを思ってぼたもちをお供えしたり、ぼたもちを見るたびにお父さんも思い出したりして、お父さんのことに触れると思うのです。食を通して、過去と現在そして現在と未来をつないでいるものと考えます。つまり食には、あまり気づかれないことではあるのですが、人や地域との関係性においてきずなをつなぐ、そして時間軸でもきずなをつなぐという役割があるのです。 
 
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
東山幸恵 先生(愛知淑徳大学 健康医療科学部 健康栄養学科)

★力を入れて取り組んでいる事
私どもの愛知淑徳大学健康医療科学部健康栄養学科は管理栄養士の養成を開始しまして、本年度で丸3年が経ちました。現在、「食を通じて地域の方への健康増進を目指す。」といったイベントを学科のパイオニアであります学生達が、自ら企画し運営をしております。私ども教員はそのサポート役として頑張っております。「医療から見た食や栄養の知識を、地域の方にいかにご自身の暮らしの中で活かしていただけるか?」ということを考え知恵を出し合いながら活動しています。もともと身近な「食」が学生達の専門領域ではありますが、授業を通して問題点等を自覚するようになり、そして「こういった事をやりたい。」という声が学生達からあがるのは非常に頼もしいことだと感じています。

★心に残ったエピソード
昨年の秋に開催された大学祭で、学生が自ら企画した健康増進のイベントを行いました。その際にわざわざ三重県からお越しになられた方がおられまして、「栄養のことを知りたい。」とおっしゃり、熱心に私どものイベントに参加して下さいました。食や栄養に関して、まだ管理栄養士の卵である学生達にも色々熱心にお聞き下さいました。学生達は時々答えに窮しながらも、一生懸命考え真摯に対応しており、その姿を非常に嬉しく思いました。後から学生に聞いてみますと、「うまく答えられず歯がゆかったけれども、楽しくてもっと学びたいと思った。」という声が笑顔であがり、地域の中で学ばせていただくことの重要性を感じた時間となりました。

★今後の課題
学生達は非常に勉強熱心です。さらにイベントを行いますと座学では見えてこない、「人前に立つのが得意である」とか、「裏方の方が得意である」というようなことが見えてきます。イベントは自分自身の強みに気づいたり、自信を持つことができたりする機会になっています。こういった経験を通して管理栄養士という仕事に誇りややりがいを感じ、ひいては地域の方の健康に食という面から貢献できる、管理栄養士の底力からのようなものをつけて欲しいと思っております。
 
 

 
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