●教えてドクター |
名古屋市医師会副会長 やまね病院 院長
山根則夫 先生
名古屋市医師会は平成18年に認知症の早期診断・早期治療を目的として「名古屋認知症安心・安全プロジェクト」を立ち上げております。物忘れを自覚した方、また「家族が認知症ではないか?」と思われた方にまずはかかりつけ医にかかっていただくために、「物忘れ相談医」を配置しました。例えば私のいる北区では物忘れ相談医を配置している診療所が約60ヶ所あります。物忘れ相談医が配置されている場所は、名古屋市医師会のホームページでもわかりますし、地域包括支援センター(いきいき支援センター)に相談していただいてもわかります。名古屋市では「いきいき支援センター」や「認知症コールセンター」を設け、認知症について不安を感じた場合の相談窓口を設置しております。その他に認知症高齢者を介護する家族を支援するために色々な事業を行っております。「認知症の家族教室」といって、我々物忘れ相談医が出向き、家族の方に認知症について勉強していただくということも行っております。また徘徊で迷子になった家族を見つけるような、「徘徊高齢者のお帰り支援事業」等の対策事業も行っております。また今年から名古屋市は「もの忘れ検診」を始めました。昨年の神戸市に次いで全国で3番目となります。わたしも立ち上げの際に何度も有識者と会議を行い検討してきました。「もの忘れ検診」は認知症を早期に発見し、適切な治療につなげることや予防のきっかけにすることを目的とした検診です。「もの忘れ検診」を受けられる医療機関は名古屋市のホームページの「協力医療機関一覧」でご確認下さい。2020年1月1日現在、名古屋市内に「もの忘れ検診」を受けられる医療機関は432ヶ所あります。今現在、アルツハイマー型認知症と診断された場合は、残念ながら完全に治療することは不可能です。ただ、脳腫瘍や正常圧水頭症または甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症等の内科疾患は完全には回復しないものの、ある程度治療することは可能です。そういった意味でも、早期にかかりつけ医にかかっていただいて、診断を受けることが重要となります。
最近、健康寿命の延伸ということがよく言われています。健康寿命が終わり、要介護になる要因の第1位は心血管疾患によって寝たきりになることです。要因の第2位が認知症と言われています。つまり認知症が予防できれば、健康寿命が延びることにもつながります。具体的な認知症の予防として、外に出ていくことが大事です。外に出て人に会って、どんどん刺激をもらうことが大切です。また、運動したり新しい事に挑戦したりといった積極的な姿勢も重要です。