健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年2月23日

[この番組の画像一覧を見る]

●教えてドクター 
★2月のテーマ「地域で支える認知症」

名古屋市医師会副会長 やまね病院 院長
山根則夫 先生

名古屋市医師会は平成18年に認知症の早期診断・早期治療を目的として「名古屋認知症安心・安全プロジェクト」を立ち上げております。物忘れを自覚した方、また「家族が認知症ではないか?」と思われた方にまずはかかりつけ医にかかっていただくために、「物忘れ相談医」を配置しました。例えば私のいる北区では物忘れ相談医を配置している診療所が約60ヶ所あります。物忘れ相談医が配置されている場所は、名古屋市医師会のホームページでもわかりますし、地域包括支援センター(いきいき支援センター)に相談していただいてもわかります。名古屋市では「いきいき支援センター」や「認知症コールセンター」を設け、認知症について不安を感じた場合の相談窓口を設置しております。その他に認知症高齢者を介護する家族を支援するために色々な事業を行っております。「認知症の家族教室」といって、我々物忘れ相談医が出向き、家族の方に認知症について勉強していただくということも行っております。また徘徊で迷子になった家族を見つけるような、「徘徊高齢者のお帰り支援事業」等の対策事業も行っております。また今年から名古屋市は「もの忘れ検診」を始めました。昨年の神戸市に次いで全国で3番目となります。わたしも立ち上げの際に何度も有識者と会議を行い検討してきました。「もの忘れ検診」は認知症を早期に発見し、適切な治療につなげることや予防のきっかけにすることを目的とした検診です。「もの忘れ検診」を受けられる医療機関は名古屋市のホームページの「協力医療機関一覧」でご確認下さい。2020年1月1日現在、名古屋市内に「もの忘れ検診」を受けられる医療機関は432ヶ所あります。今現在、アルツハイマー型認知症と診断された場合は、残念ながら完全に治療することは不可能です。ただ、脳腫瘍や正常圧水頭症または甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症等の内科疾患は完全には回復しないものの、ある程度治療することは可能です。そういった意味でも、早期にかかりつけ医にかかっていただいて、診断を受けることが重要となります。  
最近、健康寿命の延伸ということがよく言われています。健康寿命が終わり、要介護になる要因の第1位は心血管疾患によって寝たきりになることです。要因の第2位が認知症と言われています。つまり認知症が予防できれば、健康寿命が延びることにもつながります。具体的な認知症の予防として、外に出ていくことが大事です。外に出て人に会って、どんどん刺激をもらうことが大切です。また、運動したり新しい事に挑戦したりといった積極的な姿勢も重要です。
 
 
医療コラム 北欧の働き方改革に世界が注目!
論説室 後藤 克幸

先月、北欧フィンランドの政府より「働き方改革として週休3日制を検討している。」というニュースが伝えられました。フィンランド史上最年少のマリーン首相(34歳)が提唱しているもので、「人々はもっと、家族や愛する人のため、そして自分自身のリフレッシュのために時間を費やすべきだ。」と話し、「週休3日制の方が労働生産性の向上につながると判断している」と述べています。

日本でも働き方改革は、大変重要な課題の一つとして社会の大きな関心を集めています。ビジネスで成果をあげる、あるいは売り上げを向上させる、ということを狙うときに、ノルマで管理する企業が多いと思いますが、しかし「仕事が楽しい」とか「誰かのために役立っている今の仕事にやりがいを感じている」といった前向きなエネルギーを原動力に働く従業員が多い企業は、職場に活気があふれて、良いサービスや良質な製品を生み出し、その結果、企業の売り上げも向上し、ビジネス成果が高まる」という考え方が、経営学の分野で広がってきているようです。従業員の、仕事へやりがいや楽しさを重視した経営理念の企業には、さらに「この企業で働きたい」と考える優れた人材が集まるようになり、益々発展すると言われています。企業の経営者にとっては、「仕事が楽しい」とか「誰かの役にたっている喜び」をエネルギーに働く従業員を、会社の中に増やすことがっ需要になります。その方が労働生産性、つまり労働者一人一人が生み出すビジネスの成果が高くなるというわけです。ノルマで管理してしまいますと、人によってはどんどん残業が増えていくことになり、仕事が楽しくなくなってきます。自分が誰のために働いているのかという目的も見失いがちで、ノルマをこなすことが仕事の柱になってしまいます。こうなると、やはり、労働生産性も低くなってしまいます。

フィンランドが打ち出した週休3日制の検討というニュースは「リフレッシュの時間を十分に確保したうえで、仕事をする時は意欲的に集中して取り組める環境を作ろう」という意図だと思います。環境や福祉等の分野で、いつも新しい文化を発信しながら、社会の新しい仕組みを作りだしてきた北欧に、今年も世界の注目が集まりそうです。
 
 

 
関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報