健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年2月9日

[この番組の画像一覧を見る]

●教えてドクター 
★2月のテーマ「地域で支える認知症」

名古屋市医師会副会長 やまね病院 院長
山根則夫先生

認知症の症状の一つとして中核症状があり、その代表が記憶障害です。例えば物を置いた場所を忘れてしまってそれを人のせいにするといった、「物盗られ妄想」等の症状があります。もう一つの症状として行動心理症状(BPSD )と言われる症状があります。徘徊をして迷子になったり、暴言を吐いたり暴力を行ったりと、介護をする人にとっては非常に問題となるような症状です。認知症は病気ですので必ず原因疾患があります。認知症の原因疾患は非常に多く、教科書的には100以上の原因があります。大きく分けると、変性疾患、脳血管障害、その他の疾患となります。変性疾患にはアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。また脳血管障害による認知症は血管性認知症と呼ばれています。変性疾患の中で一番多いのはアルツハイマー型認知症です。二番目に多いのは脳血管障害による血管性認知症、三番目に多いのはレビー小体型認知症です。認知症の中でアルツハイマー型認知症が占める割合は50~60%以上だと言われています。アルツハイマー病の発症メカニズムは色々発表されていますが、一番有力な説としてアミロイド仮説というものがあります。これは最初にアミロイドβタンパクという異常なたんぱく質が脳内に蓄積して、その後タウタンパクが蓄積し、それに伴い神経変性が脳に起こってきます。 
アルツハイマー型認知症ではアミロイドβタンパクが出現して20年位かかって徐々に症状が出てきます。血管性認知症は認知症の中で二番目に多い疾患ですが、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因となる認知症です。レビー小体型認知症は三番目に多い認知症です。これは脳の中にレビー小体が非常に広範囲に出現する認知症です。進行する認知機能障害に加えて、実際存在しない物が見える幻視や、体がこわばって動かせなくなるパーキンソン症状等が特徴です。
 
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
廣瀬純一 先生(ふるみち調剤薬局 薬剤師)

★力を入れて取り組んでいる事
薬剤師の地域貢献の場として、「スポーツファーマシスト」としての業務に力を入れています。「スポーツファーマシスト」とは薬剤師免許を持った者が受講できる、日本アンチドーピング規則に沿った知識を必要とする認定資格になります。業務内容としては、皆さんもドーピングというワードを耳にしたことがあるかもしれませんが、スポーツの場において禁止薬物を使用したり使用を隠したりする行為を反対する、アンチドーピングとしてトップアスリートのみにかかわらず情報提供や啓発運動等を行っています。また私は北区の方で学校薬剤師をしています。今年は東京オリンピック・パラリンピックイヤーでもありますので、2月に小学校の授業で「薬物乱用教室」というものが行われます。そこで小学生にドーピングの認知やお薬の正しい使用の仕方等を学んでもらって、違った観点から東京オリンピック・パラリンピックに注目してもらえるように準備をしています。

★心に残ったエピソード
毎年3月に行われる名古屋ウィメンズマラソンで愛知県薬剤師会主催によるアンチドーピング啓発運動として大会会場にある名古屋ドーム内にブースを出しています。2017年から毎年参加させていただいています。そこでの活動としてアンケートを行っていますが、内容はドーピングにまつわるクイズや「スポーツファーマシストを知っていますか?」といった質問等です。2017年の活動当初、啓発運動自体が手探りの状態で「スポーツファーマシスト」の認知もまだあまりされていないという状態でした。しかし活動を続けていく中で、アンケート集計数も年々増加して「スポーツファーマシストを知っていますか?」という質問に「はい」と答えてくれる来場者数が増えてきています。このような活動の中で啓発運動が成長し、またスポーツファーマシストが周知されてきているという嬉しさを感じながら活動しています。

★今後の課題
地域の中でもっと薬剤師が貢献できる場を設けて、アピールして、皆様が私たちの専門であるお薬を通して、より良い生活ができるように努力しなければならないと思っています。また薬剤師として地域に出て、薬局とは違う環境に身を置いた場合、どうしたらわかりやすくお薬について教える事ができるか?どうしたらお薬についてわかりやすく知ってもらえるか?といったハウツーやノウハウの無さを活動の中で痛感しています。これからはどんな環境においても、それを上手く伝えられるように活動内容を充実させ、確立し、さらにそれを活かした経験が必要だと考えています。
 
 

 
関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報