健康ライブラリー

健康ライブラリー 2020年1月19日

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●教えてドクター 
★1月のテーマ「婦人科と漢方」

名古屋大学病院 産婦人科准教授 梶山広明 先生

漢方の領域の中の「血」(けつ)についてお話します。「血」の異常には二つあります。少し難しい字で書くと「血虚」(けっきょ)という状態があります。「血虚」は元気がなくなり、潤いがなくなるため、皮膚がかさかさし、髪の毛が抜けやすくなり、爪が割れやすくなり、冷えの症状がおこるような状態です。血虚とは別に血液の流れが悪い状態があります。これを「瘀血」(おけつ)といいます。瘀血は血虚と全く違う概念というわけではありません。血が滞りやすい所がでてくれば、足りない所もでてくるので、体の中で血液の流れが滞っている所、あるいは「血」が足りなくて冷えになっている部分におこります。瘀血の主な症状は、女性の場合では月経痛、月経痛ではない腹痛、肩こり、腰痛等です。これらを改善するためには「血」を取り除くという意味で、駆瘀血剤というものを使ったり、乾燥肌等の場合には補血剤というものを使ったりします。そういったお薬を飲むことで、栄養分が高まり血流も良くなり、体中に「血」が届きやすくなります。「血」が滞ることによっておこる、冷えや腹痛といったものが徐々に改善してくるというように捉えていただければ良いと思います。専門医の診断とアドバイスに従って治療を行うということも大事なことです。
 
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
岡田 浩 先生(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻健康情報学分野)

★力を入れて取り組んでいる事
私は薬局の薬剤師だったこともあり、「薬局の薬剤師が薬を渡すだけではなく、もっと色々な仕事ができるようにしたらどうなるか?」という内容の研究をしています。健康的な生活習慣に改善することについて、患者さんの支援を行ったり、コツをお伝えしたりすると、どういうことがその患者さんにとってメリットになるのかを研究です。そのような研究をすることで、患者さんに「健康のためには、こんな方法もありますよ。」というさまざまなオプションを示すことができます。具体的には「運動をすれば、この位血糖値が良くなりますよ!」とか「食事はこういうことに気を付けるともっと効果が出ますよ。」といったお話を薬局でした時、患者さんの健康にどのぐらい影響があるのかということを研究として行っています。

★心に残ったエピソード
「薬はきちんと飲んでおいてくださいね」と薬局で言われることが多いと思うのですが、実は多くの患者さんは「自分自身の生活でもっとできることがあるんじゃないか?」と思っています。そのため薬剤師は患者さんから、「薬に頼らず自分でできることがないのか?」とよくたずねられていました。私が、「もし運動とか食事でこういうことができたら…」というお話をすると、患者さんは結構それを実行されるのです。患者さんは、生活習慣がよくなると検査値は次第に改善します。そうなると次第に薬が減っていくのです。例えば、飲み薬で血糖値を改善できるのは1剤でせいぜいHbA1c1%程度です。しかし食事や運動といった生活習慣を変えると血糖値はもっと下がることも少なくないのです。私はカナダの大学で研究をしていました。カナダは大変広大な国で、田舎は医師に診てもらうのが難しいのです。そのため10年程前、薬剤師は医師とは独立して薬を処方できるようになりました。もともとは医師不足の町を想定して始まった制度だったのですが、今では薬局で24時間薬がもらえる便利さから、都市部の住民からも大変支持されています。

★今後の課題
医師は病気の診断が専門です。医師の負担を少しでも減らし、診断に注力できる体制を整備するべきです。少なくとも、診断がつき状態が安定した高血圧や糖尿病の患者に対しては、薬局薬剤師は現在よりも積極的に患者の治療に関わるべきだと思います。急激な社会の高齢化に伴う、医療者不足と医療費の高騰が続く日本社会で、薬剤師は専門的に持っている力を発揮していかなければいけないと思っています。
 
 

 
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