健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年12月29日

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●教えてドクター 
★12月のテーマ「音楽と健康」

日本音楽健康協会 戸塚圭介 理事長

音楽健康指導士の活躍については、大きく二つに分けています。介護施設での活躍と行政の各市町村からの依頼における介護予防教室の講師としての活躍の二つです。介護予防教室の講師の依頼は非常に多いです。昨年度だけでも各自治体さんから要望を受けた介護予防教室の数だけで3200教室位行っております。介護予防教室では介護施設と違って元気なご高齢者が多いので、健康に対するニーズも非常に高いものを持っている方が多いです。ということから、まさに厚生労働省が出している「運動、口腔、認知、それぞれに合った予防プログラム」を提供しております。プログラムのひとつに「スポーツボイス」というものがあります。これは歌の練習のように思われるかもしれませんが、そうではなくて実は運動機能の改善、口腔機能の改善について非常に考えられたプログラムです。またコミュニティーを作り、社会参加を促すためのツールでもあります。手や足も動かすスクワット的な形をとりながら声を出し、同時にいくつかの運動を重ねていきます。これを歌いながら行うので、かなりハードだと思います。松本市では平均年齢が72,3歳の男性を中心に、このプログラムを積極的に取り入れていて、1時間位汗だくになって行っています。この「スポーツボイス」は介護予防というより機能訓練的な部分に重きを置いてプログラムを作っていますので、高齢者の方々にはリズムのスピードをかなり落としたりしています。皆さん楽しんでいます。慣れ親しんだ曲を皆で一緒に歌うことによって、過去を想起するということで楽しさを感じるのだと思います。今後、当協会としては民間と行政をつなぐ役割に重きを置いて活動していきたいと思っています。歌や音楽の力を提供するだけではなく、当協会には NTT さんやセコムさん等多数の企業が入っておりますので、安心安全を提供しつつ、 NTT さんのプラットフォームを上手く利活用しながら、各自体が抱えている超高齢社会の課題を解決していきたいとも考えております。そのためいくつかの企業を組み合わせて繋ぐ橋渡しをし、多職種連携で活動をすすめていきたいと思っております。
 
医療コラム ~新年度から始まる「フレイル」検診
論説室 後藤 克幸

まもなく2020年、新しい年ですね。今日は、来年度に始まる医療の新しい取り組みのお話をさせていただきます。

厚生労働省は来年度から75歳以上のお年寄りを対象に「フレイル健診」という新しい検診をスタートする計画です。「フレイル」は聞きなれない言葉かもしれませんね。これは老年医学の分野で使われている言葉で、老化に伴って様々な体の機能が弱り体調を崩しやすくなり、介護が必要になるリスクが高まってくる状態を意味します。

老年医学会の専門家の調査によると「フレイル」と診断される人は、65歳から69歳までの60代では5.6%ですが70歳を超えると少しずつ増えてきて80歳以上になると35%にもなるそうです。この「フレイル」で重要なことは、この状態は予防が可能であり様々な取り組みによって元に戻ることができるという点です。そこで厚生労働省は来年度から「フレイル」の予防対策を強化することにしたというわけです。

これまで高齢者の健康診断ではメタボリックシンドローム対策に重点が置かれてきました。しかし最近の研究結果ではメタボ対策が必要なのは60歳代までで、75歳以上の後期高齢者が気を付けなければいけないのはメタボではなく「フレイル」だということが指摘されるようになってきました。

そこで、厚生労働省は後期高齢者の健診でこれまで使われてきたメタボリックシンドローム対策に重点が置かれた質問票を改訂して、フレイル対策に主眼を置いた新しい質問票を作りました。例えば「毎日食事をきちんと食べているか?」「急に体重が減っていないか?」「歩く速さが遅くなっていないか?」「過去1年間に転倒して怪我などをしたことはないか?」「週に1回は外出して社会参加しているか?」など15項目の質問です。この質問票を後期高齢者健診やかかりつけ医を受診した時などに活用して「フレイル」の状態を的確に把握して生活の改善を促すというのが厚生労働省の新しい狙いです。なぜならば「フレイル」は予防ができ生活習慣の改善によって元に戻ることができるからです。

私たちは、この「フレイル」について日頃から関心を持って生活を見直しながら、健康寿命を延ばしていきたいですね。
 

 
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