健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年12月22日

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●教えてドクター 
★12月のテーマ「音楽と健康」

日本音楽健康協会 戸塚圭介 理事長

「音楽健康指導士」の資格は、施設内でレクリエーション等を行い利用者様に楽しく過ごしていただくための資格だと思います。現在、介護のお仕事をされている介護士さんが非常に多く取っていらっしゃいます。「音符が読めたり、楽器が弾けたりしないとこの資格は取りにくいですか?」と聞かれますが、全くそのようなことはありません。歌や音楽を活用したレクリエーションを提供するためのものですから、音符が読めたり、楽器が弾けたりする必要はなく短い時間で資格が取れます。「笑顔」、「楽しさ」といったことがキーワードとなります。男性は女性に比べてどうしても、引きこもってしまったり、閉じこもってしまったりすることが多いですが、歌や音楽の力で外出の機会をつくることができると考えます。最初は遠慮がちですが、2回目、3回目の参加となりますと、笑顔をつくることもできてコミュニティーを作りやすくなります。利用者様の青春時代の懐かしい曲を聴くことによって、一気に当時にフラッシュバック(過去を想起)させて、それから現代に戻していく(回想法と言います。)、こういったことが認知症などにも非常に効果的だとも言われています。年配の方は昨日食べた食事は忘れてしまうことが多いですが、実は30年前のあの場所であの曲を聴いて食べたカレーが美味しかった等ということはよく記憶されています。そういったお手伝いをする「音楽健康指導士」は全国に5,000人位いて各地で活躍されています。
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
鈴木善史 さん(名古屋市 認知症相談支援センター 副所長)

★力を入れて取り組んでいる事
「本人ミーティング」という取り組みに力を入れています。「本人ミーティング」というのは認知症の本人同士が中心になって、「認知症になっても暮らしやすい社会とはどんな社会だろう?」ということについて話し合う場です。現在65歳以上の7人に1人が認知症だと言われています。そして認知症になっても約6割の人が自宅で生活を続けていらっしゃいます。そのため名古屋市では認知症になっても安心して暮らしていただける町づくりを目指し、色々な取り組みを行っています。ただこの取り組みを進めるにあたって大切なことは、暮らしやすい社会であるかどうかを決めるのは私たちではなく、認知症本人だということです。だからこそ本人の声をしっかりと聞く、「本人ミーティング」の場というのはとても大切なのではないか、ということで今力を入れています。「本人ミーティング」は昨年度より始まりまして、これまで合計4回開催しております。

★心に残ったエピソード
「本人ミーティング」に参加された当事者の方の言葉がとても印象に残っています。認知症になるとお金の支払いが苦手になる方が多いです。例えば店員さんから「560円です。」と言われて、何を何枚出したらいいのか分からなくなり、混乱して頭の中が真っ白になってしまいます。こういった体験をすると買い物に行くのが怖くなり、買い物に行かなくなってしまう方が多いです。ただ今回参加された当時者の方はとても前向きで、「周りの方に迷惑をかけたくないから、自分が買い物に行く時は必ず両ポケットに千円札を1枚ずつ入れて買い物に行くようにしている。そうするとサッとお金を出せるよね。」とおっしゃいました。「知恵をしぼって本人なりに工夫して生活しているんだ。」と笑いながらお話してくれました。こういった方のお話を聞くと認知症になっても周りの人に迷惑をかけないように一生懸命生きているんだなということが伝わってきてとても勇気づけられます。認知症というと自宅では暮らせなくて施設に入らなくてはならない、といったような重度のイメージをお持ちの方が多いです。認知症になっても自分らしい生活をしている人がいるんだ、認知症になっても懸命に生きている人がいるんだ、ということを認知症本人の声を通して届けられるといいなと思っています。
 

 
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