健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年12月15日

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●教えてドクター 
★12月のテーマ「音楽と健康」

日本音楽健康協会 戸塚圭介 理事長

歌と音楽には非常に不思議な力があり、心や体の健康の維持に大きな効果があります。何よりも歌や音楽は楽しくて身近にあるということが良いところです。そういった意味で歌や音楽を通じて社会貢献を行いたいとの理念を持って日本音楽健康協会は設立されました。具体的な活動としては人材育成というかたちで、「音楽健康指導士」をいう資格を世の中に広めております。「音楽健康指導士」は現在約5,000人ですが、歌や音楽を活用して健康維持や介護予防に役立つ知識や技術を習得してもらっています。その他の活動としては、研究開発があります。歌や音楽がもたらす効果の研究を大学や企業とで行い、広く社会に広めていきたいと考えております。また高齢者の社会参加についてですが、高齢者の閉じこもり・引きこもりをなくして、社会参加を促すための活動として、地域サポーターのような「音楽健康指導士」の簡単な資格があるのですが、これを取得していただいて活躍していただく環境を提供していきたいと考えております。最近では色々な市町村が高齢者の社会参加を促そうということで、「音楽健康指導士」の資格をとってもらい(「市民音健士」などと言われています。)受け手から担い手に変わることで、地域サポーターとして社会に参加していただく仕組み作りをしています。活動の場では歌に合わせた運動機能の改善を行っています。機能訓練だけ、介護予防だけをしようとすると、どうしても負荷がかかり楽しくありません。やはり皆で行うことと、そこに歌や音楽を交えることにより楽しい機能訓練や介護予防ができると考えております。専門家を増やし、様々な地域で音楽や歌を通して高齢者の社会参加を広げていこうというのが、日本音楽健康協会の活動です。と考えています。
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
山田佳織 さん
(名古屋大学医学部附属病院 地域連携・患者相談センター 医療ソーシャルワーカー )

★力を入れて取り組んでいる事
私は現在、小児のお子さんへの対応を中心に活動をしています。当院は小児がん拠点病院に指定されているため、愛知県内外から多くの小児がん患者さんが入院されています。その際特に学校との連携に力を入れています。長期入院中であっても子ども達へ学習保証の機会を与え、退院後にスムーズに学校に通うことができるような復学支援はとても重要だと考えています。

★心に残ったエピソード
小児がんで入院されていた小学生の女の子がいました。彼女はそれまで長い入院生活の中で治療を頑張ってきましたが、いよいよ治療がこれ以上は難しいという最期の時期がきていました。医療者とご両親とで話し合い、「体力が残っている間にやりたい事をかなえてあげよう。」ということになりました。もちろん彼女自身は自分の状態を知っているわけではありませんが、「今やりたいことはある?」と聞いた時にでてきたのが、「学校に行ってクラスのお友達に会いたい。」という言葉でした。私は彼女の思いを学校側に伝えました。車椅子で酸素を使用しながら学校へ行くということで、何度も学校側と連絡をとり打合せを行いました。その結果、学校側が彼女とご両親の思いをくみ取って下さり、クラスメイトが企画した「おかえりなさいの会」が開かれました。病院から外出し、学校から戻ってきた後、動画を見せてくれました。そこにはクイズ大会や歌のプレゼント等、本当に素敵な会の様子がおさめられ、「感動しました。」とお母さんも涙を流して喜んでいらっしゃいました。彼女自身も「楽しかった!」と笑顔いっぱいでお話をしてくれました。このような対応をして下さった学校の先生方にも感謝の気持ちでいっぱいになりましたし、子どもにとっての学校の存在の大きさを再確認することができた事例でした。

★今後の課題
入院中の学習保証という点では、高校生への対応はまだまだ十分とは言えません。高校は義務教育ではないため、出席日数や単位取得がとても重要になります。入院中でも勉強して、進級・卒業したい気持ちを持っている子が多いため、各学校へ入院中の学習支援のお願いをしています。しかしマンパワーの問題等があり、スムーズにいかないのが現状です。最近では病院へ教師を派遣する訪問教育や、インターネット回線を利用して遠隔授業を行う学校も増えてきているので、そのような対応が今後さらに広がると良いと思っています。
 

 
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