健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年11月17日

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●教えてドクター 
★11月のテーマ「睡眠剤の正しい使い方」

名古屋大学大学院医学系研究科 精神医学分野教授
尾崎紀夫 先生

世界各国との比較調査によると、不眠の時に日本人は最も医療機関を受診せず、お酒で何とかするといった率が一番高いといという困った結果が出ています。「睡眠薬は怖いものだ」というように考えている方もいらっしゃると思います。一方でお酒は不安が少し解消されるぐらいの適量はいいのですが、起きていられない程たくさんの量を飲むと、どうしてもその量が増えていってしまいます。またアルコールが分解されると体温が上がってしまって、「目を覚ませ」というサインになってしまいます。もう一つ問題なのは、お酒は筋肉の緊張をとって睡眠中の無呼吸を引き起こします。すなわち寝酒はかえって不眠を悪化させます。先回眠るためのメカニズム三つ申し上げました。生活リズム。疲れたら休む、睡眠システム。危険な時は目を覚ます覚醒システム。この三つの我々が持っているシステムに色々な物質が関与していて、物質ごとに睡眠薬が開発されています。例えば睡眠システムに働くのがGABAで、これまで良く使われてきた多くの睡眠薬がGABAの働きを強めます。二つ目は覚醒システムに働くオレキシンの作用をブロックする薬を使えば眠れるというものが最近でてきました。オレキシンは日本人の柳澤先生(現在 筑波大学教授)が見つけた物質です。もう一つですが、リズムを整えて睡眠に持っていく、メラトニンという物質の働きと同じような働きを持っている薬も日本で開発されています。睡眠薬を使う前に、先回申し上げた生活習慣の理解を皆さんにご理解いただき、さらにどれだけ眠るかという目標値の設定をしていただきたいです。例えば二十歳の時と比べると七十歳では睡眠は浅めに短めになります。昼間、睡眠が取れないことで問題が起きているのか?もしちゃんとお仕事できているのであれば、それでいいということになります。そのようにご自分の睡眠に対する気持ちや感じ方を調整していかれるのが、不眠対策の基本ということになります。
 
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
水谷久美さん(あいち骨髄バンクを支援する会 事務局長)

★力を入れて取り組んでいる事
民間の骨髄バンクである東海骨髄バンクが1989年に設立されました。その当時55人のドナーさんから患者さんへの命のプレゼントがされ、その後1991年12月に公的骨髄バンク「日本骨髄バンク」が設立されました。現在骨髄バンクのドナー登録者数は50万人を超えました。骨髄バンクで骨髄移植や末梢血幹細胞移植を希望する患者さんの9割以上に少なくとも1人以上のドナーが見つかるようになりましたが、実際に移植を受けることができる患者さんは6割しかいらっしゃいません。移植を必要とされるすべての患者さんが移植のチャンスに恵まれるためには、さらにドナー登録者数を拡大する必要があります。骨髄バンクでは提供できるのが55歳のお誕生日までです。卒業していくドナーさんより新規の登録者数を増やしていかなければなりません。特に若年層に骨髄バンクを知って頂き登録していただけるよう活動を続けていかなければと思っています。

★心に残るできごと
二十歳の女の子が白血病になり治療していました。化学療法で治療を受けていましたが、骨髄移植が必要となり、ドナーを探していました。とても頑張り屋さんで、家族にも「心配をかけたくない。」と決して弱音をはかずに病気と闘っていました。しかし彼女と白血球の型が一致するドナーはなかなか見つかりませんでした。「彼女に移植を受けさせてあげたい。」そんな思いで病室を後にしたのを覚えています。結局彼女は移植のチャンスに巡り合うことなく、ご家族や友人たちとお別れをしなければなりませんでした。ドナーがいなければスタート地点にも立てません。彼女はどんなに悔しかったことか。辛い思い出ではありますけど、彼女と出会った時の彼女の素敵な笑顔が私の原動力かもしれません。また日々多くの患者さんやご家族と関わらせていただいている中で、治療中や移植後の辛い思いや苦しみをお話しいただくことがあります。お気持ちを伺い共感し、たまに一緒に涙することもあります。そんな時間を共有することによって、患者さんやご家族は笑顔で帰っていきます。「私でも少しはお役に立てたかな。」とそういった時間も私の原動力になっていると思います。そしてもちろん元気になった患者さんの笑顔も原動力になっています。まずはドナー登録の必要性を知っていただくことが大切だと設立約30年経過した今も感じています。知っていただいた後、登録していただき、そして提供となることを願っています。提供することで一つの命が繋がります。命のバトンリレーです。患者さんは移植の日を二つ目の誕生日と言います。全ての患者さんに命のプレゼントが届くよう、私たちは今後も活動を続けて参ります。
 
 

 
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