健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年11月10日

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●教えてドクター 
★11月のテーマ「睡眠剤の正しい使い方」

名古屋大学大学院医学系研究科 精神医学分野教授
尾崎紀夫 先生

最初に眠るための仕組みをお伝えしたいと思います。眠るための仕組みは三つあります。まず一つ目は、我々は夜になると眠る、タイミングを計る時計のようなものがあります。ところが我々のリズムはもともと24時間ではなく25,6時間で、寝・起きするように出来ています。従って25,6時間のリズムを24時間にするように時計を合わせています。二つ目ですが、昼間我々は活動をして疲労します。疲労回復のために眠るとシステムです。三つ目は危険な時は眠ってはいけないという覚醒するシステムです。睡眠に持っていく、覚醒する、それからリズム、この三つのシステムのどれが破綻しても不眠になります。第一のリズムですが、我々は時計もなく一定の光の所で過ごしていくと、25、6時間で寝て起きて毎日1、2時間ずつ後ろの方にずれていきます。要するにどんどん遅寝遅起きになっていく生き物です。それを光や食べるタイミングや活動等で24時間に合わせています。また人と会うことによっても24時間に合わせています。このリズムが損なわれると睡眠に悪い影響を与えます。もともと25、6時間のリズムで遅寝遅起きになるので、普段12時に寝ている人にとってその数時間前の早寝というのは一番眠り辛い時間です。以上を踏まえてより良く眠るための生活習慣を申し上げます。第一に、昼間活動をし疲れたら眠るシステムを働かせ、第二に光を午前中に目から入れることで24時間のリズムにあわせます。また、もちろん眠る直前にカフェインを飲まないこと。そして暑いとか、痒いといった不快な状態も良くしておくこと。また昼寝については30分以内、午後3時までにするのはプラスです。長く眠りすぎたり午後3時を超してしまったりすると夜の睡眠に差しさわりますからご注意ください。うまく眠れない等の睡眠についての悩みの背景には生活習慣や、人間の持っているリズムの崩れにうまく対応できていないということがあります。それをよく知ったうえで安易に睡眠薬にたよらないことが大切です。
 
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
柳澤佑児先生(弥富薬局 薬剤師)

★力を入れて取り組んでいる事
地域包括ケアにおける在宅業務に力を入れています。基本的には処方箋をお持ちいただいて調剤し、服薬指導薬を行ったり、お話を聞きながらOTC医薬品等を選定して販売したりしています。他にも様々な業務がありますが、その中でも「住み慣れた場所で最後まで」をテーマにしている地域包括ケアにも力を入れています。医者、薬剤師、看護師、ケアマネージャー他の医療従事者とご家族様で患者様を見守っていく、このシステムの中での在宅業務に特にやりがいを感じております。

★心に残るできごと
お会いした方々それぞれにストーリーがございますので、一つを選ぶのがなかなか難しいのですが、その中のお一人について申し上げます。脱水症状で倒れ入院し施設に入られ、そこからご自宅に戻ってこられた方がいらっしゃいました。初めはなかなか心を開いてくれませんでしたが、徐々に色々な話をするようになりました。体調の波をいくつか越えられた時に「あなたが来てくれるから生きていられます。」と不意に言われたことがございます。その時はとても嬉しく、「やっててよかったなあ」と思ったことは強く心に残っています。

★今後の課題
例えば薬局にはいろいろな相談にみえる方がいらっしゃいますが、お薬手帳を常にお持ちではないため適切なOTC医薬品を選定しにくい場合があります。また多くの医療機関にかかっておられて、しかも色々な薬局で薬をもらうため、薬の管理が非常に悪くなりきちんと服薬できていない方もみえます。一人のかかりつけ医、一つのかかりつけ薬局を決めていただくことが大事だと思われます。また介護保険で利用できるサービスにも限界がありまして、その方の生活に大きく関わる在宅業務では理想と現実のギャップに悩むことが多々あります。例えば「もっと色々してあげた方がいいのにな。」と思っても、介護度が足りないためにその方が欲しいサービスを受けられないことがあります。制度の壁や規則の中でできること、できないことがありますが、やはり患者様やご家族のお話をよく聞いて一番良い方法を見つけ出していくということが大切かと思います。
 
 

 
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