健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年11月3日

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●教えてドクター 
★11月のテーマ「睡眠剤の正しい使い方」

名古屋大学大学院医学系研究科 精神医学分野教授
尾崎紀夫 先生

「睡眠とは」というところからお話します。眠っている時間帯は生き物にとっても極めて無防備な状態です。身の危険に繫がる生き物が周りに来た時、例えばネズミにとって猫が近くに来たという時は、睡眠中であれば生命の危機に瀕します。つまり生き物の生存にとって睡眠は不利益な状態です。ところが生物が進化するにつれて、睡眠も進化してきました。生き物にとって不利益をもたらす睡眠が進化するということは、睡眠はどんな意味を持つのでしょうか?一つは身体全体にとって大変重要な意味があります。例えば睡眠中は細胞の新陳代謝が進んだり、血液を作ったり、あるいは成長ホルモンが出るようになる等、の意味があります。もう一つ、脳にとっても睡眠は重要な意味があります。昼間、例えば誰かとお話をすると、その時に脳はいろいろ記憶します。睡眠にはその記憶を整理して定着させるという働きがあります。もう少し詳しく言いますと、昼間に我々は記憶するために、脳の中の細胞が繋がりを作ります。これが記憶の細胞レベルの基本ですが、細胞と細胞の繫がる部分が物理的に太くなっていきます。昼間の間に太くなった細胞はエネルギーを沢山消費するようになってしまいます。我々の脳は体の中の数パーセントの重さしかないのですが、エネルギーは全体の20%も使っています。一方で昼間細胞が大きくなってどんどんエネルギーを使うようになってしまったら困ります。そこで眠っている間に神経細胞のつながりを少し弱めて、エネルギーを使わないようにしています。また起きている間に神経細胞のつながりを強くすることによって、情報をたくさん処理できるようにします。必要な情報と同時に不要な雑音、ノイズも拾ってしまいます。したがってノイズを拾いすぎないように、エネルギーを使いすぎないように、眠っている間にある程度この細胞のつながりを緩めることによって、昼間にかかった脳の働きを少し弱めてやり、記憶を上手く整理をするという睡眠の働きがとても大事です。すなわち体にとっても脳にとっても睡眠がとても重要です。
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
遠渡美幸さん(犬山市健康福祉部長寿社会課)

★力を入れて取り組んでいる事
長寿社会課の中で高齢者の方の介護予防や健康作りに力を入れています。介護予防の事業を開催しておりましても、なかなか男性の方に参加していただけません。そこで今年度から東海第一興商様のご協力の元、「スポーツボイス教室」と称した介護予防事業を始めさせていただきました。「スポーツボイス」というのはプロの方に対して行われているボイストレーニングを、高齢者の方にも楽しく継続できるように開発された運動です。音楽に合わせて発声をしながら体を動かすという教室になっていて、東海第一興商様の音楽健康指導士の先生が教えて下さっています。

★心に残るできごと
犬山市では男性限定の「スポーツボイス教室」を9月からスタートしました。委託先の東海第一興商様からいらっしゃる音楽健康指導士の先生が、とても楽しく教室を運営して下さるおかげもあり、会を重ねるたびに少しずつ参加者の笑顔が増え、会話も増え、女性顔負けにお話が盛り上がるようになってきました。私の心配が良い意味で裏切られることになったと心に残っています。

★今後の課題
「高齢者=支えられる側」としてよく表現されますが、高齢者の方は生活の全てを支えてもらう必要があるわけではありません。いつまでも健康でいること自体が、支える側の負担を減らすことになります。高齢者の中には、「ちょっとしたことなら」、「これぐらいなら」というように、「支える側」として施設の中で活躍して下さる方もたくさんいます。このように「地域の中で支える側をいかに増やしていくか」ということが高齢者の多い犬山市ではとても重要です。まだまだその事に気付いていない住民が多いように思われます。
最後に頼れるのは地域のつながり、地域の力なんだということを、これからも住民に
発信していく必要があると感じています。
 
 

 
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