健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年9月22日

●教えてドクター 
★9月のテーマ「強迫症」

名古屋大学大学院 医学系研究科 精神医学分野 准教授 
木村宏之 先生

強迫症の患者さんは、治療を行えば回復する可能性は十分にありますので、まずは治療を受けていただきたいです。具体的には2本柱と言われていますが、一つは薬物療法でもう一つは心理社会的治療である認知行動療法が多く行われています。薬物療法に関しまして現在日本で承認されているのは2種類の抗うつ剤です。デプロメール(ルボックス)とパキシルが承認されています。また、心の不安を和らげたり強迫行為を少なくしたりするアプローチに認知行動療法があります。患者さん達は「非常に汚い物があるんじゃないか?」と考えて不安が高まっています。そういった時に手を洗う行為により不安を軽減していくことがあります。それを何度も繰り返していますと、今度は手を洗わないと不安が軽くならないため、余計に手を洗うという悪循環に入ります。ですから、もしかしたら汚いかもしれないけれど、汚いままで少し我慢するとか、気持ちをコントロールするとか、あるいは「健常な人でもそういった不安は皆持っているんだ」ということを患者さんと共有することによって、汚いという強迫観念を患者さん自身でコントロールできるようにアドバイスすることが大切だと思います。ずっと我慢していると不安はだんだん下がっていくものですので、そういう気持ちが落ち着いていく過程を患者さん自身に実感してもらい、確認しなくても大丈夫だという経験を積み重ねることが大切です。
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
日置悠己 さん(刈谷病院 地域連携室)

★力を入れて取り組んでいる事
私は普段アルコール依存症の患者さんやご家族のご相談に応じております。アルコール依存症は否認の病と言われていまして、たとえご本人にお酒の問題があったとしても、それを正直に話せなくなってしまう病気です。そのため自ら診察を受けたいという形でご来院する方はとても少ない病気です。そういった場合、周囲への働きかけとしてご家族や支援者との受診に向けた連携や、診察前の事前相談等に丁寧に対応することを心掛けております。

★心に残るできごと
治療につながったアルコール依存症の方の多くは断酒会やアルコホーリクス・アノニマス(AA)等の自助グループにつながっています。そういったグループへの参加を続けて、1日ずつお酒を飲まない日々を積み重ねて生活をしています。自助グループの参加者の方は、言いっぱなし、聞きっぱなしといった形でミーティングを行っております。そういったものに参加して協働的に回復されている方が多いです。私も自助グループの方の体験談をお聞きして、依存症は特殊な病気ではなく、私自身も感じるような、人それぞれが頑張ってきた歴史やうまくいかない現状等、共感できることも大変多くあります。患者さんの回復が私自身の学習になって成長につながるというところが依存症の支援の良さであると感じております。

★今後の課題
最近、ご高齢のアルコール健康障害に関する相談がとても多いです。「定年になってやる事が無くなってしまい、空いた時間が増える事によって、お昼からお酒を飲み始めてしまったりすることを続けた結果、数年後に自分で飲酒をコントロールすることができなくなってしまった。」という相談を受ける事が多いです。ご高齢の方はたとえお酒の量が少なくても酔いがまわりやすい体質になってしまいます。そこでお酒を飲み続けた期間が長い人は、治療につながったとしても、お酒をやめたり、お酒を減らしたりする取り組みを本人も周囲もなかなかしづらいという問題が生じてきます。そのままお酒を飲み続けるとアルコール性の認知症に進行してしまう危険性があります。ご高齢の方は普段のお酒のたしなみ方に注意が必要になってきます。
 
 

 
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