健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年9月15日

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●教えてドクター 
★9月のテーマ「強迫症」

名古屋大学大学院 医学系研究科 精神医学分野 准教授 
木村宏之 先生

強迫症の診断基準ですが、基本的には患者さんが困っていらっしゃる症状についていろいろな角度から聴取することによって判断します。私どもは強迫観念と強迫行為が実際に該当するのか?健常なのか?病的なのか?をまずは考えています。強迫観念について病気であるという診断基準として、その行為が1日1時間を超えるかどうかがあります。例えば、繰り返される持続的な思考、衝動イメージ等が自分にとって侵入的で不適切だと考えた場合、「ものすごく汚い物が手にあるかもしれない」「外側で何か汚い物に触れてしまったのではないか?」という不安が健常の人の何倍も起こり、その不安を小さくするために何回も手を洗うという行為に至ります。何回も手を洗ったり、何回も火の元を確認したりする強迫行為を行う時に、ご自身だけではまだ不安で、家族に見て欲しい、あるいは確認して欲しいと求める患者さんがいますが、そういう方を巻き込み型と言います。昨年、日本で、強迫症患者さんの長期予後研究が行われ、巻き込み型でない患者さんより巻き込み型である患者さんの方が治癒率が低いという結果が出ています。
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
中石 真一路さん(ユニバーサル・サウンドデザイン社長)

★力を入れて取り組んでいる事
以前から私の祖母と父が難聴でしたので、聴こえの支援をスピーカーでできないかとずっと研究をさせていただいておりました。これまでの聞こえの支援は補聴器などとなりますが、補聴器まではまだ必要ではないという話もありましたので、そういった問題を技術改革できないかということでスピーカーを使った支援について慶應義塾大学SFC研究所にて武藤先生と一緒に研究をさせていただくことになりました。研究中に耳が聴こえにくい高齢の方々とお話ししていくうちに音質に敏感であることに気付きました。通常ですと、「聴こえにくいのだから音質はわからないのでは」と思ってしまうのですが、音質に敏感であることがわかってきましたので、「もしかすると耳が聴こえにくくなっているということは、音質に敏感になっているんじゃないか?」というポイントを研究で突き止めたのが非常に大きな成果となりました。そこから音質を良くしていくと人体対してどういう効果があるかという研究をしていきました。

★心に残るできごと
あと1週間と余命を宣告された方がおられて、「最期に何かしたい事はありますか?」と看護師さんが聞いたところ、「喧嘩したままの姉と話しがしたい。」とおっしゃいました。その方は耳が遠い方でした。今まででしたら叶わない事だったのですが、コミューンというスピーカーを使って会話がきちんとでき、その方とお姉さんは仲直りでき笑顔で息を引き取られました。それを聞いて最期の最期まで人は話をし、コミュニケーションをとりたい動物なんだなと強く感じました。

★今後の課題
聴こえに関する知識を得る場所は非常に少ないので、そういった機会を今増やしています。今ちょうどニュース等で言われていますが、難聴を放置することが認知症のリスクになるという問題が出て来ています。そういった部分をきちんとお話ししています。難聴を放置すると脳が委縮するという研究データが出て来ています。聴こえないからあきらめるのではなくて、聴こえやすい環境を用意してコミュニケーションを継続していくということを地域住民の方や市区町村の方とお話をして聴こえのセミナーとしてやらせていただいております。
つい先日もヒアリングハラスメントゼロ推進委員会を立ち上げ第一弾プロジェクトとして石倉三郎さん主演の短編映画「気づかなくてごめんね」をリリースしました。
ぜひご覧いただきたいです。
 

 
 

 
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