健康ライブラリー 2019年6月30日

健康ライブラリー / ライフ・ヘルスケア
●教えてドクター 
★6月のテーマ「さまざまな依存症」

名古屋大学医学部 薬剤部長   
山田 清文 先生

日常生活の中にあるものについても依存はおきます。最近ではギャンブル依存やゲーム依存といった、いわゆる非物質性の障害が病気として正式に認定されました。例えばギャンブル依存の診断基準として掛け金が次第に多くなります。これは薬でいうところの耐性で、より強い刺激を求めて掛け金が多くなります。そしてやめようとするとイライラする、これは禁断症状です。それからギャンブルをやめようと思うけれども繰り返し失敗する。そしてギャンブルのことで頭がいっぱいになり非常に強い渇望がおこります。ギャンブルのことを隠すために嘘をついたり、ギャンブルの為に家族や仕事を失ったりするということもおこります。社会的生活に影響がでるとギャンブル障害、ギャンブル依存と診断されます。ギャンブル障害やゲーム依存は比較的新しい疾患概念ですので、実際にはまだ詳しいことはわかっていません。ギャンブル障害の有病率は欧米等では1%前後という統計データがあります。日本人男性では9.6%と、非常に有病率が高いという報告があります。治療法としましては、まず認知行動療法と言って、ギャンブルやゲームに対する考え方のゆがみ、つまり「自分だけはこのギャンブルに勝つ。」と考えるようなゆがみがあるので、そういったゆがみを正して患者さんが自分自身で感情や考え方をコントロールできるようにする治療法が中心となります。ゆがみを正しく修正することによって、例えばギャンブル依存の重症度が軽くなったり、ギャンブルの頻度が減ったり、損をする金額が減ったりする改善効果があると言われています。
 
 
医療コラム ~認知症の予防になる生活環境とは?
論説室 後藤 克幸 

「自宅の近くに食料品の店が多いと認知症になりにくい」という興味深い研究結果が先ごろ発表されました。料理のメニューをあれこれ考えながら食材を選んで買い物をするお店が自宅近くにあることが、お年寄りの脳の働きを活性化してくれるらしい、というのです。この研究は、東京医科歯科大学等のグループが行ったもので、65歳以上のお年寄りおよそ5万人を対象に、食料品の買い物ができる環境と認知症の発症リスクの関係を調べたものです。その結果「自宅から1km以内に、野菜や果物や魚等が買える食料品の店がある」と答えた人のグループと、「自宅の周りには食料品の店が全くない」と答えた人のグループを比較すると、「全く無い」というグループでは、認知症を発症するリスクが、「自宅近くに食料品の店がある」グループの1.7倍だったということです。どうしてそうなるのでしょうか?食事のメニューをいろいろと考えながら新鮮な食材を選ぶ買い物を、自宅近くで日常的に行える環境が、お年寄りの認知機能の維持に重要な役割を果たしていると考えられる・・・というのです。買い物ができる店が近所にあれば、自ら歩いてそこへ行きますので運動にもなります。

運動も老化の防止にはとても重要です。それを裏付ける研究もあります。こちらは、愛知県美浜町の日本福祉大学の研究グループが発表したもので、健康な高齢者5,000人余りを対象に、2006年~2017年の11年間追跡調査して、スポーツやボランティア等の地域の活動への参加と健康の関わりを分析しました。その結果、ボランティアやスポーツ等の地域の活動に参加している人は、全く参加していない人に比べて、介護が必要になる期間が短かったということが判明しました。特に、何らかのスポーツ活動に週1回以上参加している人たちは、そうでないグループに比べて、調査した11年間で介護費用が61万円程低くおさまったということです。このような研究結果をみてみますと、やはり食料品の店で料理の献立を考える買い物や、スポーツ等の趣味の活動に参加することは、いずれも、日常的に体を動かしながら、頭を使って考えるという生活習慣が、継続することを意味していて、認知症の予防につながり、若々しさを維持するポイント…と言えそうですね。
 
 

 
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