健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年6月23日

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●教えてドクター 
★6月のテーマ「さまざまな依存症」

名古屋大学医学部 薬剤部長   
山田 清文 先生

違法薬物というと日本では、メタンフェタミンという覚せい剤の乱用が圧倒的に多いです。最近ではメタンフェタミンとよく似た作用を示すコカインの乱用がテレビ等でも話題になりましたが、コカインの乱用も増えていると言われています。その他アヘン、ヘロイン等のオピオイド、大麻やマリファナ等の幻覚薬、また新しく作られた合成麻薬と呼ばれるMDMAといった薬の乱用も大きな問題となっています。違法薬物の乱用に陥っていく典型的なパターンとしては、興味本意から手を出すパターンが最も多いです。お酒やたばこ等の嗜好品とは違い違法薬物(覚せい剤)等の場合には最初から強烈な快感が得られます。そしてこの快感を再体験するために乱用が始まりますが、依存性薬物の場合には耐性と言いまして薬の効果が次第に弱くなってきます。そのため最初に得たような快感を得ようとして薬の量が増えていきます。一方で体の中から薬が消えていきますと、次は不安や震えといったいわゆる禁断症状が現れます。そしてその禁断症状は非常に不快なので、その不快な感覚から逃れるためにさらに薬に手を出すことになります。こういったことを依存症の負のスパイラルと言いますが、覚せい剤依存というのは負のスパイラルが動き出している状態です。さらに依存症がひどくなりますと幻覚や妄想等もでてくると言われています。依存症は脳の病気ですから脳の機能の異常やさらに構造(形)の異常がおこります。こうした変化は不可逆的で薬をやめても元に戻らないということがわかっております。違法薬物に対する依存の場合には専門の医療機関を受診して薬物療法や非薬物療法を受ける必要があります。その他にテレビでよく放送されますが、ダルクと呼ばれる覚せい剤等の薬物から解放されるためのプログラムを持つ民間の薬物依存症のリハビリ施設があります。とにかく違法薬物の場合には、近づかない、手を出さない、ということが大事だと思います。
 
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
川崎 陽一 さん (株式会社プレイケア 代表取締役)

★力を入れて取り組んでいる事
「通いの場の創造」ということに力を入れています。私どもが今使っている言葉で、「社会参加寿命の延伸」という言葉があります。徒歩10分のコミュニティーということをテーマに、「誰もが気軽に通える場所を持っている世の中」を目指して様々なプレイヤーと一緒に通いの場を作っています。例えば最近多いのはデイサービスのお休みやクリニックや病院の休業日、また調剤薬局の空いている時間等、通いやすい場所に自分が行く目的を持ってもらう取り組みを加速しています。こういった場所で行う内容としてテーマが二つあります。「健康と交流」という言葉を使い、体操等体を動かすことを1時間目に行い、2時間目に皆さんが交わるようなゲームや歌やライトスポーツを一緒にやっていただき仲間になっていただく取り組みを行っています。

★心に残るできごと
これまでに31ヶ所程こういった通い場を作ってきましたが、一度だけ言われた誉め言葉があります。「今日何やってるの?」という言葉です。参加者が「今日何やってるの?」と言って入ってくるのが一番の誉め言葉だと思っています。その方々にとって何か目的を持って来るのがファーストステージとすると、だんだん慣れてくると、何にもなくても週1回同じ時間に毎週繰り返して来てくださいます。そうなると生活習慣の中に入ることができて、「何だかわからないけど今日来たよ。」ということになり、その時の言葉が「今日何やってるの?」であると我々は考えています。その言葉を目標に様々なアクティビティーを提案するようにしています。

★現場の課題
男性の方がなかなかこういったコミュニティーに参加して下さいません。色々要因を探ってみますと、参加すれば女性ばかりで、女性対男性が9対1または8対2が当たり前の状況ということが要因の一つです。またコミュニティーを考えたり運営したりする側もほとんどが女性です。つまり男性が好むようなアクティビティー自体が不足しています。「男性の参加率をどう上げていくか?」という課題を現場では持っています。
 
 

 
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