健康ライブラリー 2019年6月16日

健康ライブラリー / ライフ・ヘルスケア
●教えてドクター 
★6月のテーマ「さまざまな依存症」

名古屋大学医学部 薬剤部長   
山田 清文 先生

最初に強調しておきたい点は、病院で処方される薬の場合、医師が依存症の可能性についても考慮し適切な薬を選び適切な量を適切な期間処方し、薬剤師が正しく服用方法等を患者さんに説明し、患者さんが医師や薬剤師の指導に従って正しく服用すれば依存症になる心配はない、ということです。しかし指示とは異なる量や期間あるいは方法で長期間服用すると、薬の種類によっては依存症になる可能性もあります。例えば前回もらった薬は処方された分だけ飲み切る必要がありますが、症状が良くなったということで薬を取っておく方がいらっしゃいます。そして「また同じ症状が出たから同じ薬でいいだろう。」と自己判断で勝手に服用する、あるいは自分の家族に同じ症状が出た場合に自分の薬を与えてしまう、といった間違った飲み方が長期間にわたると依存症になる可能性があります。症状が同じでも原因が同じとは限りませんので、専門機関を受診する必要があります。現在日本で最も問題になっているのは、ベンゾジアゼピンと呼ばれる睡眠薬や抗不安薬に対する依存症です。米国ではオピオイドクライシスと言われていまして、フェンタニルと言われる合成オピオイド系の鎮痛薬の乱用や依存症が大きな社会問題になっています。ドクターショッピングと呼ばれていますが、薬を処方してくれるドクターの所を患者さんが選んで、その病院にかかって薬をもらっているという現実があります。誤った薬の使い方によっておこる依存症を防ぐには、医師や薬剤師の指示に従って正しい処方、正しい服薬を行うことが重要です。
 
 
●スマイルリポート ~地域の医療スタッフ探訪
久米淳子 さん(常滑市民病院 看護局長 )

★力を入れて取り組んでいる事
地域とのつながりや絆を大切にして地域に深く根をはって、市民に支え続けていただけるような病院になることに力を入れています。実は10年ほど前病院は倒産寸前でした。そんな状況の中で前常滑市長の片岡さんは地域の人達が安心して暮らし続けられる町づくりには市民病院が必要だと決断して下さいました。当時病院建設に反対していた市民とも100人会議を通じて相互理解が進んで結果的に病院の応援団になって下さいました。地域医療というのは医療者だけのがんばりでは成り立ちません。地域の人達の理解と協力が必要です。今、常滑市民病院では130名程のボランティアさんが病院を支えて下さっています。私は一方的に支えていただくだけでなく、私たちも地域に出て共に汗を流す姿勢が大切だと思っています。現在地域で開催されるイベントには看護師達を中心とした多職種で「健康ひろめ隊」を結成して地域住民の健康チェックを行ったり、高齢者サロンやデイサービスで「出前講座」を開催したりしています。どんどん地域に出て地域の人達の日常の中で生の声を聞いて真のニーズを知る活動というのは、活動者自身の病院から地域へという視野の広がりや学びにつながっていると思っています。

★心に残るできごと
今でも忘れられないのが、知的障害のある20代のがんの末期の患者さんのことです。病状がどんどん悪くなって、痛みと呼吸困難で自力では歩けない状況になっても「どうしも売店に連れて行って。」と毎日毎日、看護師達に頼み込んでいました。その時私は病棟師長だったのですが、看護師達はどんなに忙しくても仕事の手を止めて車椅子やストレッチャーで売店に連れて行っていました。その患者さんはもう自分では何も食べられる状況ではありませんでした。それなのに毎日売店に行っては「このお弁当はお父さんが好き。」「このお寿司はお母さんが好き。」「このお菓子はお姉ちゃんの子どもに買ってあげる。」と言って自分が大好きな人達のために嬉しそうにプレゼントを続けていました。私はそんな純粋な姿を見て胸が痛くなるほど感動したのを覚えています。動くのも苦しいはずなのに自分のことよりも自分の愛する人達の笑顔が見たくてプレゼントを繰り返す姿を見て「天使って本当にいるんだな。」と思いました。

★現場の課題
常滑市民病院は今後市立半田病院の新築移転に伴って経営統合される予定になっています。特に看護師というのは病院職員の半数以上を占める大所帯になります。組織文化の違う二つの病院が一つになることはとても難しいことだと思いますが、互いの良さを活かしあえるような交流をこれから行っていなかければならないと思っています。
 
 

 
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