健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年5月12日

●教えてドクター 

★5月のテーマ「緩和ケア」

名古屋大学医学部 化学療法部 
杉下 美保子 先生

私たちが日常臨床に携わっている際に、患者さんから「まだ緩和ケアの時期ではないです。」と言われたり、「緩和ケアということは、もう終末期ですね。」と言われたりすることを時折経験します。まだ患者さん側の抵抗感、医療者側の抵抗感が大きいのが現状です。WHOが出しているデータからも、諸外国と比較して日本での医療用麻薬の消費量が、まだまだ適正使用量に達していないことが示唆されています。医師の中でもまだ痛みを過小評価している場合もあるかと思いますし、患者さんの抵抗感もあるのがその大きな要因と考えています。やはりモルヒネと言われると最期の手段と思われていて、「最期ですか?」と言われることもありますし、ご家族ががんで最期にモルヒネを使って亡くなられたというお辛い経験から、ためらいを感じる方もいらっしゃいます。実際には痛みのある状態で適切に医療用麻薬を使用すると、中毒にはならないということがわかっています。また麻薬の使用量と寿命には相関が無いこともわかっています。私たち医師は痛みがある状態で使えば中毒にはならないということと、安心して安全に使えるということを患者さんやご家族にご説明し、何のために医療用麻薬を使っていくかということを説明して共有しています。医療用麻薬の副作用に対しても、様々な薬や対処法が開発されていますので、十分に対応できるようになっています。緩和ケア病棟というと「退院できずに亡くなる場所ではないか?」という誤解がありますが、実際にはそうではありません。苦痛がコントロールされて自宅療養が可能になれば、緩和ケア病棟から退院して自宅療養に戻られる場合もあります。緩和ケアは生きるための医療です。患者さんがより豊かな人生を送ることを支える医療だと考えております。学会としても全国的に市民公開講座を開催したり、メディアによる広報を行ったりして緩和ケアの普及啓発に取り組んでいます。しかしまだまだ緩和ケアに対する誤解があるという現状を認識しています。
 

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

岩田 充彦先生(あおい薬局 港店 薬剤師)

◆力を入れて取り組んでいる事
臨床的に必要以上のお薬が投与されている、または不必要なお薬が処方されている状態のことをポリファーマシーと言います。薬の飲み合わせや類似薬の重複等が意図せぬ副作用を起こす場合がありますので、処方医に減薬等できるように提案をしています。

◆心に残るエピソード
服用薬が多い患者さんと会話をした時に、服用回数が多く飲み忘れることもよくあるため、薬を減らしたいと悩んでいました。現在の症状や飲み忘れる時間等を聞き、服用を中止できる薬を理由と共に処方医に提案しました。その結果3種類の薬が減り、服用回数も3回から2回に減りました。直接主治医に言えない患者さんだったので、喜んでいただけました。

◆現場の課題
高齢者になるとたくさんの薬を服用する人が多くなります。先程も言ったポリファーマシーに対する解決には、医療スタッフと患者さんが一体となって取り組んでいくことが大切です。何でも相談できる、かかりつけ薬剤師になれるように努力していきます。患者さんやご家族も含めてコミュニケーションをとれる薬剤師を目指してがんばります。
 
 

 
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