健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年4月28日

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●教えてドクター 

★4月のテーマ「大腸がんの最新情報」

名古屋大学医学部 消化器外科
中山吾郎 先生

大腸がんと診断された時に既に他の臓器に転移がある場合や手術の後に再発が発見された場合でも様々な治療があります。大腸がんで転移や再発が多い臓器は肝臓や肺ですが、切除できる場合には、手術が治療の1番の選択肢となります。また、切除が難しい場合には、抗がん剤治療(化学療法)が治療の主体となりますが、大腸がんの化学療法は年々進歩しています。切除が困難と診断された大腸がんの予後は以前8~12ヶ月でしたが、現在、きちんと治療を受ければ30ヶ月以上の予後が期待できるようになりました。さらに、抗がん剤の効果によってがんが小さくなり、切除が可能となる場合もあります。大腸がんの再発があっても、専門医とよく相談し、ご自身の病状やライフスタイル合った最適な治療を見つけて、諦めずにしっかり治療を受けることが大切だと思います。
 

●医療コラム ~超高齢社会の地域医療を担う「総合診療医」が足りない!

論説室 後藤 克幸

医師不足や医師の偏在を話し合う厚生労働省の検討会で先頃、今後どんな分野でどれくらいの医師が不足するのか予測データが示されました。医師の数全体は20年前に比べて1.4倍と増えています。しかし大都市に集中していたり、地方では医師不足が深刻だったり様々な偏在が明らかになっています。偏在は、医療の分野別でも大きな問題になっています。例えば内科医はおよそ20年後に14,000人足りなくなると予測される一方で、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科などの専門医は、それぞれ1,000人近く余ってくると予測されています。

どうしてこうなるのかと言いますと、これまでの医療は病院中心の医療で、働き盛りの人たちの社会復帰を支える医療が中心でした。このため、病院の中で細かく分かれた専門分野別の医師が、質の高い医療を提供して活躍してきました。しかしこれからは、超高齢社会となり、地域で暮らすお年寄りの健康をサポートする医療が重要になってきます。お年寄りは、一つの病気だけではなくて、複数の健康問題を併せ持っている人が多いのですが、1人のお年寄りが、複数の症状ごとに、複数の専門医を受診していたら大変です。時代の変化に合わせて必要とされる医療の分野も変わっていくのは当然です。どんな医療に変わっていくのかと言いますと、いろいろと複数の健康問題を抱えているお年寄りを、総合的に診てくれる家庭医が、身近な地域にいてくれることが重要になってきます。様々な症状をいくつも持っているお年寄りが、いくつもの専門医をはしごするのは大変です。「総合診療」と呼ばれる分野の専門知識と経験を積んだ「総合診療医」を増やさないと、超高齢社会の医療は立ち行かなくなってくるでしょう。高度な治療を担う病院の専門医と、地域で活躍する「総合診療医」のバランスの取れた連携がとても大切になってきます。病院の専門医だけではなく、地域で暮らす住民の健康を総合的に支援する質の高い医療を提供する「総合診療医」にも高い評価が得られるような仕組みを構築していくことが求められています。
 
 

 
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