健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年4月7日

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●教えてドクター 

★4月のテーマ「大腸がんの最新情報」

名古屋大学医学部 消化器外科
中山吾郎 先生

近年、消化管がんは治療法の進歩や検診の普及により少しずつですが制御されている傾向にあります。その中で大腸がんまだ増加傾向にあり、大腸がんと診断された患者さんの人数(罹患者数)は2番目に多く(男性3位、女性1位)、死亡者数は最も多い(男性3位、女性2位)がんです。大腸がんは様々な要因が組み合わさって生じると考えられますが、多くは生活習慣と関わりがあるとされています。肉類の過剰摂取や野菜・果物の摂取不足、飲酒、喫煙、肥満などは大腸がん発生の危険因子とされています。また、一部の患者さんはご家族の病歴やご自身の病歴と関わりがある場合があります。同じ消化管がんの中で胃がんは減少傾向にありますが、これは胃がんの原因のひとつであるピロリ菌の除菌が進んだことが理由の一つと考えられます。一方、大腸がんでもその発生や進行に関わる遺伝子の異常が少しずつ解明されてきており、将来そういった遺伝子異常を制御できれば早期診断や治療に役立つ可能性もあります。しかし現状では、診断や治療への応用は限定的であり、また大腸がんの原因を減らす治療はないため、生活習慣の改善や検診による早期発見が最も重要であると考えます。
 

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

安形典子さん
(メディカルソーシャルワーカー、日進おりど病院 在宅医療センター 医療相談室長)

◆力を入れて取り組んでいる事
最近入院されている方の中で、一人暮らしのご高齢者様がとても多いです。その方達はおそらく何か準備をして入院されるわけではないと思います。治療を終えて体力が戻ったと同時に、以前と同じような生活を一人ではできない場合に医療ソーシャルワーカーが、元の生活を1日も早く取り戻せるように多面的に支援を行わせていただいています。

◆心に残るエピソード
通院中の患者様のお話ですが、毎月息子さんが休みをとって一緒に受診されていました。その方から「息子に休みをとってもらうのが申し訳ないので、訪問診療(先生がご自宅に来てくださる制度)に切り替えたいのだけれど、どうしたらいいか?」という相談を受けました。訪問診療に来ていただくと、外来で通院されているよりも料金が比較的高くなってしまうことが多いです。その方は国民年金を受給されていたので、少し高くなってしまうことがわかりました。「年金収入しかなく、医療費の負担を息子や家族にかけるわけにはいかない。」ということで訪問診療という制度をあきらめざるを得ませんでした。そういった理由で患者様のご希望に沿った制度をお勧めできないことがとても心残りでした。

◆現場の課題
核家族化が進みましたけれど、同居をされている方の場合には何か手立てを考えていかれます。ただ、一人もしくはご夫婦のみで過ごされている方は、「どこに相談をしたらいいかわからない。」とか「相談しても自分がその制度に当てはまるかどうかわからない。」といった状況に出くわすと思います。我々はそういった制度をどのように使ったらいいかというのはもちろんですが、制度と制度のはざまにあってサービスを使うことができないかもしれない方々にも、生活に寄り添って様々な提案をさせていただいています。できる事もできない事も一緒にかんがえていくことがソーシャルワーカーの仕事だと思っておりますので、遠慮なく声を掛けていただきたいと思います。
 
 

 
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