健康ライブラリー 2019年2月24日

健康ライブラリー / ライフ・ヘルスケア

●教えてドクター 

★2月のテーマ「高齢者の関節症」

名古屋大学医学部付属病院 整形外科
平岩秀樹 先生

膝の痛みの予防に関してのお話をさせていただきます。一番大事なのは日常生活における膝の負担を減らすことです。例えば走ったり、重い物を持って歩き回ったり、飛び跳ねたりする激しい運動によって膝は負担を受けていきます。この負担が積み重なることによって膝の痛みがひどくなっていきます。そういった負担のかかることをなるべく減らしていくことが大切です。仕事をしてはいけないというわけではないのですが、無理をしないようにすることが大事です。もう一つ大事なのは体重です。体重が重いと膝の痛みがひどくなりやすいです。体重が増えると膝や腰への負担がとても強くなります。少し体重が軽くなるだけで、かかる負担は減って痛みがとても楽になります。痩せなさいとまでは言いませんが、増えないようにがんばっていただければ良いと思います。ただ、そのために偏った食生活をするのも宜しくないですし、運動に関しても痩せるために無理をするような運動は膝に負担がかかります。体重を減らすために一番良い運動はウォーキングや水泳のような有酸素運動です。もう一つ大事なのは筋肉です。膝のまわりの筋肉を鍛える事によって膝の負担を減らすことができるというデータがあります。一番よく行われる筋トレは座った状態もしくは寝ころんだ状態で、膝をまっすぐ伸ばしたまま持ち上げて、5秒から10秒数えるものです。そうすることによって、太ももの前にある筋肉をしっかり鍛えてもらうことができます。個人差があるので苦痛でない程度に行うと良いです。この筋肉を鍛えることによって膝にかかる負担を減らすことができます。大事なことは続けることです。
 

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪医療コラム ~人生最期に受ける医療・・・日本の現状は?

論説室 後藤 克幸 

ポールマッカートニーのライブコンサートが去年、ナゴヤドームで行われました。見てきたのですが、ポールは2時間半以上笑顔を絶やさず、躍動的に演奏し歌い続け、とてもエネルギッシュなステージでした。76歳なのですが、とても76歳には見えない若々しさでした。ポールのように年齢を重ねても、好きな事をして世界を回って溌剌とした生活を続けたいですよね。
そしていよいよ人生最期の時が来るとしても、体の痛みや心の不安が無くて穏やかに旅立ちたいと思う人が多いと思います。人生の最期を迎える時に受ける医療がどんな医療なのかはとても大切ですが、日本の現状はどうなっているのでしょうか?

◆亡くなる直前まで痛み苦しむ患者・・・
国立がん研究センターが去年の暮に大変興味深いデータを発表しています。それによりますとがん等の病気で亡くなった患者の家族およそ4,800人を無作為に選んでアンケート調査を行いました。「亡くなる前の1ヵ月間、体の痛みが少なく過ごせましたか?」という問いに、26%の方が「そうじゃなかった。」と答えました。さらに亡くなる1週間前の痛みを尋ねると、23%(4人に1人)の方が、「ひどい痛みがあった。」と答えていらっしゃいます。死の直前まで患者さんが痛み苦しんだ姿が浮かんできます。

◆医療用麻薬に根強い誤解と抵抗感
痛みはできるだけ我慢するものなのでしょうか?今、医療現場で使われている麻薬で痛みを抑えるというのはあまり良くない事という誤解が非常に根強くあります。医療現場でも患者や家族の間にも、双方にこういった根強い抵抗や誤解が残っています。しかし本当は早い段階から緩和ケアと言われる医療を受けて、医療用の麻薬を適切に使用して、痛みを積極的に取り除くと、生きられる時間も長くなるという研究結果も国内外で指摘をされ始めています。緩和ケアの生命予後改善効果と言われています。そして痛みを取るために使う医療用麻薬では中毒はおきません。鎮痛剤としてのモルヒネを使う使用量も欧米と日本では大きく差がでています。アメリカやカナダでは、モルヒネの使用量が日本の20倍使われています。イギリスでも4倍位は使われています。

◆「緩和ケア」発祥の地=イギリスでは・・・
緩和ケア発祥の地イギリスでは、がんで亡くなる患者のほぼ100%が緩和ケアを受けて亡くなっています。日本では緩和ケアを受けて亡くなる人が20%程度だと言われています。亡くなる前の痛みというのは、単に体の痛みだけだはなく、不安や鬱状態のような心の痛みや死の恐怖や生きる意味への恐怖のようなスピリチュアルな魂の痛みと呼ばれるものもあります。また、仕事上の問題や家計等や経済の問題のような社会的な痛みもあります。こういたトータルな痛みに対応してくれる癒しが欧米の状態に比べると日本は随分立ち遅れている現状があります。今回の調査でも明らかになったように、日本でも医学教育やスタッフの育成の面で、こういったトータルな痛みに対応してくれる環境を整えていくことが強く求められています。
 
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