健康ライブラリー

健康ライブラリー 2019年1月6日

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●教えてドクター 

★1月のテーマ「糖尿病治療の最新情報」

糖尿病・内分泌 内科クリニックTOSAKI
院長 戸崎 貴博 先生

今、糖尿病かもしれない方が1000万人、糖尿病と診断されているレベルの方が1000万人、あわせて2000万人いらっしゃいます。日本の人口の約1/6近くが糖尿病かもしれないということになります。子どもを除くと大人はかなりの割合です。4~5人に1人の割合で糖尿病かもしれないということになります。ご存知のように糖尿病をそのままにしておきますと、次々と合併症が出てきます。視力が落ちたり腎臓が悪くなって人工透析になったり、心筋梗塞や脳梗塞をおこしたりします。こういったことでさらに医療費が増えていくことも日本全体で問題になっています。なるべくそういった次の病気をおこす前に良い状態で悪化しないようにしておくということが社会全体で求められています。糖尿病があるだけで、どこか痛いという方はいらっしゃらず、血糖値が300でも400でも痛くはないです。それで「今どうってことないから大丈夫だろう。」とそのままにしておかれる方が多いです。実はこの血糖値が300、400といった高い状態が数年間続くとどんどん血管の中がボロボロになっていってしまって最終的に合併症をおこします。神経も血管から栄養をもらっていますので、血管がボロボロになったりとぎれたりすると色々な臓器に障害がでてきます。糖尿病と聞いただけで恐怖を感じて一生懸命治療に取り掛かる方もいらっしゃいますが、反対に「まだ今何ともないから大丈夫だろう。」と自己判断される方もいます。健康診断で糖尿病と言われたのに病院にもクリニックにも行っていないという方は実はとてもたくさんいらっしゃいます。統計によると40代の男性は約半数が、健診で糖尿病と言われたのにまだ受診していないそうです。少し前までは病院へ行って血液をとってヘモグロビン1cという数値をとらないと糖尿病の状態がわからなかったのですが、二の腕の後ろにオセロの玉のようなパッチを貼り付けておくだけで24時間血糖値を測定できる機械が登場しています。それを付けると患者さんは本体をセンサーにかざすだけで、ピッと音がして今の血糖値がわかり、過去8時間の血糖値をグラフにして出してくれます。例えば「歩いたから今血糖値が下がったな。」とか「おまんじゅうだと血糖値があがるな。」とか「野菜を先に食べると血糖値がゆっくりしかあがらないな。」とか色々なことに気付いていただけます。取り付けるだけで行動が良くなって、血糖値が下がるという方がいらっしゃいます。今後もっと測定できる機械が保険でまかなえるようになると、どんどん普及するのではないかと思います。
 

●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪 

村岡 宏史 さん (美幌町立国民健康保険病院 リハビリテーション科 理学療法士)

<力を入れて取り組んでいる事>
当院では平成30年6月より、がんリハビリテーションの施設基準をクリアして、緩和がんリハチームを発足しました。がん患者様は進行病変のため状態は日々変化します。リハビリ専門職として患者様の機能面、日常生活動作、在宅復帰に関する評価・指導を中心に実施して、患者様の状態を見ながら家族の不安を軽減できるように注意しております。特に在宅復帰について、患者様の現在の機能面、家族の介護量にあわせて、福祉用具の選定やベッド・トイレ環境、介護サービスについて調整する必要があり、安楽な生活ができるように注意して取り組んでいます。

<心に残るできごと>
他の病院より入院されたがん患者様のエピソードですが、予後1ヵ月から2ヵ月の告知を受けていました。在宅復帰に向けてリハビリを実施していましたが、進行が早く急変されてしまい、入院後約2週間で亡くなられてしまいました。その患者様が生前自宅で飼っている猫に会いたいと言われていました。「病院内のカンファレンスで猫に会わせてあげることはできないのか?」と検討していた翌日に亡くなられ、猫に会うことはできませんでした。短期間のリハビリでしたが「患者様の希望に沿うことができなかったのではないか?」「他の希望もあったのではないか?」と印象に残っています。がん患者様は進行病変のため、状態の変化にその都度対応する必要があり、リハビリを通じて患者様や家族へ支援できるようにしていきたいと思っています。

<現場の課題>
がん患者様は進行病変のため、体調の変化や急変の可能性があります。日々の状態の変化にあわせて患者様本人と家族の希望や意向が離れている場合があります。例えば患者様は早期に自宅に帰りたいけれど、家族は介護や急変に対して不安があり、自宅に帰るのが難しいと考えられる場合があります。ドクターや看護師や他職種とカンファレンスにて意見交換や情報の共有をしていますが、患者様とご家族の希望や意向の差を極力縮めていくことが現場の課題ではないかと考えています。
 
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