●教えてドクター
★12月のテーマ「心不全」
名古屋大学医学部 循環器内科
室原 豊明 先生
心不全の予防のために、現在たばこを吸っておられる方は禁煙が最も重要です。現在日本人の喫煙率は約17%ですが、これは逆に5人に4人以上の方は吸っておられないということです。吸っておられる方は是非やめていただきたいです。それ以外には高血圧を予防する目的でバランスの良い食事を心がけることが大切です。1日の食事に主食、主菜、副菜がバランス良くそろっていることが理想です。あとは体の筋肉を作るたんぱく質である肉、魚、卵、大豆製品等は心がけて摂っていただきたいです。一方でご飯や麺類やパン等は炭水化物になりますので、摂りすぎますとカロリーオーバーになって肥満の原因になります。また血圧を上げる最大の要因の一つは塩です。高血圧の方や心不全になりそうな方は、できれば1日6g未満の食塩に制限していただきたいです。特に汁物は塩分を多く含んでいます。味噌汁は1杯で1.5g、ラーメンはすべて食べてしまうと8gになってしまいます。これだけで1日の容量を超えてしまいます。ですからこういった物は薄口にしていただくか、ラーメン等はスープを残していただくと良いと思います。タバコのリスクですが、タバコを吸うと体の中に炎症がおきてしまいます。本人には気がつかないくらいの弱い炎症ですが、タバコを吸わない人に比べると吸う人は炎症の時に上がって来る白血球の量が多くなります。この上昇した白血球は、動脈硬化をより強く引き起こします。またタバコの煙の中に入っている活性酸素という物質が炎症を引き起こして動脈硬化を進めるとも言われています。さらにタバコを吸いますと一酸化炭素が体の中に入ります。一酸化炭素は酸素と競合してヘモグロビンにくっつきます。ヘモグロビンは血液の中で酸素を運んでいるのですが、一酸化炭素がこれを邪魔します。ですからタバコを吸って一酸化炭素が体の中に入ると血液による酸素の運搬を横から妨害してしまい、そのために心臓がより無理をしてしまうため心不全が悪化します。現在タバコを吸っておられる方は、禁煙は必須です。もう一つの心不全の予防は適度な運動です。いわゆる有酸素運動といって、酸素を十分取り入れながらゆっくり行う運動です。これには心臓のリハビリ効果があります。少し息が切れるな、といった程度の運動をしていただくと、心臓がそれに順応しようとしてゆっくり機能を上げていってくれます。急に強い運動をするのは逆効果ですが、ほんの少しきつい程度の運動を毎日か週に3日程度行っていただくと、それに体が順応しようとして心臓が少しだけがんばってくれます。これがリハビリ効果を生んで心不全の予防になります。
名古屋大学医学部 循環器内科
室原 豊明 先生
心不全の予防のために、現在たばこを吸っておられる方は禁煙が最も重要です。現在日本人の喫煙率は約17%ですが、これは逆に5人に4人以上の方は吸っておられないということです。吸っておられる方は是非やめていただきたいです。それ以外には高血圧を予防する目的でバランスの良い食事を心がけることが大切です。1日の食事に主食、主菜、副菜がバランス良くそろっていることが理想です。あとは体の筋肉を作るたんぱく質である肉、魚、卵、大豆製品等は心がけて摂っていただきたいです。一方でご飯や麺類やパン等は炭水化物になりますので、摂りすぎますとカロリーオーバーになって肥満の原因になります。また血圧を上げる最大の要因の一つは塩です。高血圧の方や心不全になりそうな方は、できれば1日6g未満の食塩に制限していただきたいです。特に汁物は塩分を多く含んでいます。味噌汁は1杯で1.5g、ラーメンはすべて食べてしまうと8gになってしまいます。これだけで1日の容量を超えてしまいます。ですからこういった物は薄口にしていただくか、ラーメン等はスープを残していただくと良いと思います。タバコのリスクですが、タバコを吸うと体の中に炎症がおきてしまいます。本人には気がつかないくらいの弱い炎症ですが、タバコを吸わない人に比べると吸う人は炎症の時に上がって来る白血球の量が多くなります。この上昇した白血球は、動脈硬化をより強く引き起こします。またタバコの煙の中に入っている活性酸素という物質が炎症を引き起こして動脈硬化を進めるとも言われています。さらにタバコを吸いますと一酸化炭素が体の中に入ります。一酸化炭素は酸素と競合してヘモグロビンにくっつきます。ヘモグロビンは血液の中で酸素を運んでいるのですが、一酸化炭素がこれを邪魔します。ですからタバコを吸って一酸化炭素が体の中に入ると血液による酸素の運搬を横から妨害してしまい、そのために心臓がより無理をしてしまうため心不全が悪化します。現在タバコを吸っておられる方は、禁煙は必須です。もう一つの心不全の予防は適度な運動です。いわゆる有酸素運動といって、酸素を十分取り入れながらゆっくり行う運動です。これには心臓のリハビリ効果があります。少し息が切れるな、といった程度の運動をしていただくと、心臓がそれに順応しようとしてゆっくり機能を上げていってくれます。急に強い運動をするのは逆効果ですが、ほんの少しきつい程度の運動を毎日か週に3日程度行っていただくと、それに体が順応しようとして心臓が少しだけがんばってくれます。これがリハビリ効果を生んで心不全の予防になります。